Yakushima Time

鹿島裕司/ウッドショップ木心里

屋久島では、山の仕事に従事する人たちのことを「山師」と呼ぶ。

工芸品に使われている屋久杉…。ふと手にとってみて、疑問に思ったことはないだろうか?「樹齢数千年といわれる貴重な屋久杉は、保護されているはず。工芸品に使われている屋久杉は、いったいどこから持ってきたもの?」

屋久杉の伐採は、江戸時代から本格的に始まった。
里から歩いて丸1日、それ以上かけて深い山に入って、切っている。森の中で、何日もかけて斧で切り、平木と呼ばれる板にして、担いで里まで下ろした。
年貢として薩摩藩に納めたのだ。

そうして残された切り株が、森のあちこちに残されている。それらは、「土埋木(どまいぼく)」と呼ばれる。
屋久杉が保護されたあと、工芸品に使われたのが土埋木だ。

鹿島裕司さんは、数少ない若手の山師の一人として、土埋木として残された巨大な切り株を切り出す仕事をしてきた。
熱心な仕事ぶり。その成長に先輩たちは期待したが、突然の不幸が鹿島さんを襲う。

切った土埋木を運び出すために、木の上にワイヤーを張ろうとして、落ちたのだ。
一命は取りとめたものの、重傷を負った。

時に道なき道を何時間もかけて登り、やっとたどり着く山師の「現場」。
いつも危険と隣り合わせの仕事。
鹿島さんは、山師の仕事を続けることを断念するしかなかった。

失意の日々を送った鹿島さんだったが、やがて木に関わる仕事に希望を見出す。
それが木工の世界だった。
多くの人に支えられ、修行を積んで店を開いた。それが「木心里」だ。「きこり」と読む。

島の県道沿いにある小さな店。扉を開けると、やさしい空気に包まれる。
それは、店内に置かれている作品たちが醸し出すものかもしれない。


■店内は、ほのかな木の香りに包まる


■「一輪挿し」  屋久杉とタブの木を使っている

かつて森の中で、切り株に向き合っていた鹿島さんが大切にしている思いがる。
「作品から森を感じられるような、使われている木が立っていた森の姿を想像してもらえるような、そういう作品を作りたい」


■切り株をイメージした一輪挿し  訪れた人の多くが手に取り微笑む

使われている木は、屋久杉をはじめ、屋久島で生まれ育った木々たち。そっと手に取り、見つめていると木々たちの息吹と温もりが伝わってくる。

山師=木こりだったことを忘れず、その誇りは今も鹿島さんの心の中にある。
「里に下りた木こり」が作品にこめた、森のメッセージが伝わってくるようだ。

鹿島裕司/ウッドショップ木心里
住所

コメントを残すメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント
名前 *
メールアドレス *
ウェブサイト