小高真一さん/ウッドワーカー(木工職人)
素材の面白さをそのままに。島内のカフェなど手がけるウッドワーカー
「僕の作るものは、まず“素材ありき”です」
そう語るオダカ製作の小高真一さんは、島内で活躍するウッドワーカー(木工職人)。宮之浦集落にある“中島タタミ店”や“茶屋やまがら屋”、永久保集落のカフェ“雪苔屋”などの店舗他や、民家の建築や家具などを手掛けている。
小高さんは、19年前に埼玉県より移住。昔から第一次産業に興味があり、日本地図を眺めては、住む場所を探していた。そんなとき、鹿児島県の離島“屋久島”を見つけ、なんとなく「ここだ」と感じたという。移住後は、森林組合所属の班で仕事を数年務めたあと、口永良部島での伊勢海老漁師や、沖縄でのダイビングインストラクターなどを経て屋久島へ戻り製材所に勤務。
そして、移住後に知り合ったウッドワークの師である屋久島在住のアメリカ人建築家“ウィリアムブラワー氏”の助手を経て、“オダカ製作”を屋号に掲げた。
全てが繋がらないと完成しない
ウィリアム氏から受けた影響は、実務や作業含め建築に関わる全てだと語る。しかし、言語の壁を感じることも少なくない。そんなとき小高さんは、なるべく言葉に頼らず、師の手仕事を見たり感じたりして習得していったという。
「ウィリアム氏から学んだことは数えきれないですね。まずは、その場所の環境条件、そして住む人や住み心地、窓から見える景色までも全てが繋がらないと、家が建たないということを教えてもらいました」
そんな小高さん、小さい頃は道端でよく拾い物をしてくる子供だったという。その癖は変わっていないらしく、今でもよく石や木々など「面白い」と思ったもの車に乗せて持って帰ってくるそう。
「昔は、“大人”って、もっと大人なのかな、って思ってたけど、僕は小さい頃からやってることがあまり変わってないですね」
素材の面白さを活かし愛されるもの作り
そう言って笑う小高さんの作品は、素材そのものの形状を活かした、味のあるものばかりだ。例えば、現場でどうしても倒さなければならなくなった木を、その木が持つ自然な曲がり具合を活かして玄関の梁に使ったり、海岸で転がっていた石をコップ置きに使用したりしている。
「素材が持つそのままの面白さを見つけて、いかに愛情を持てるか。そして使ってくれる人からも愛されるようなものづくりがしたいですね」
将来は、自作ののぼり窯でタイルを焼き、自身が手掛ける構造物に使いたいと語る。若きウッドワーカーの手仕事は、この先もとどまることを知らない。
(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)
オダカ製作
住所 | 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房 |
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TEL | 0997-46-2161 |