浜辺の恵み

インストラクター:中村 幹(かんちゃん)

豊穣の秋、というと野山の実りが注目されがちですが、海辺にも実りの季節は訪れています。
この時期、浜辺の波の届かないような場所いっぱいに這うように枝を広げ、青紫色の花とともにまるい果実をたくさんつけているのは「ハマゴウ」という植物。

びっしりと浜辺を覆う様子に雑草扱いされることもありますが、このハマゴウ、何を隠そうバジルやミント、セージやローズマリーなどのハーブと同じシソの仲間。葉、茎、果実に強い香りがあり、特に果実を乾燥させたものは生薬の「蔓荊子(まんけいし)」として、解熱や消炎、滋養強壮に効果があるとされます。生薬としてだけでなく料理にも使うことができ、香りが苦手でなければ肉料理などの香りづけに使うのもおいしいです。

身近にみられる、ともすれば雑草とされがちな植物でも意外な背景を持っています。暑さも和らぎ過ごしやすい今だからこそ、身近に隠れている意外な発見を探しに、野山に出かけてみるのはいかがでしょうか。

※野外に自生している植物は、有毒なものも数多くあります。食用・薬用とする場合、信頼できる資料をもとに確認する、見識のある方の確認をとるなど最大限の注意を払うようにしましょう。

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