山﨑亜也香さん/島の森林資源を使用した商業施設 SOMES倶楽部

島の森林資源を使用した商業施設/SOMES倶楽部

大型ドラッグストアやレンタカー会社が立ち並ぶ屋久島空港周辺に、新たな商業施設”SOMES倶楽部”がオープンした。

SOMES倶楽部の母体である” SOMES”は、種子島を本店に持つホームセンター。生活雑貨や食品、ペット用品、電化製品など、人々の生活に合わせて多種多様な品々が揃うことから、開店から24年経った今でも、島中からひっきりなしにお客様がやってくる。

そんなSOMESは、これまでの店舗から山手隣へと引っ越しし、旧店舗は屋久島の地杉で建てられた” SOMES倶楽部”へとリニューアル。島の森林資源を使いながら経済を循環させる活動を行う”屋久島大屋根の会”によって建てられた。空港から宮之浦方面へと車を走らせると、滑走路のすぐ横を通る県道沿いに、「森と生きる」の文字が描かれた看板が見えてきた。

“人間関係に恵まれて”新店舗での挑戦!

「1人でも多くのお客様にお気軽に立ち寄っていただきたいです」

そう語るのは、SOMES倶楽部の責任者である山﨑亜也香さん。栗生集落出身だ。栗生集落といえば、SOMES倶楽部のある小瀬田集落から、丸い屋久島上で見ると真逆の位置にある。時間にして車で約1時間以上かかる距離を、毎朝5時半に起きて通勤しているという。もうかれこれ14年もその生活を続けていると聞いて驚いた。すると真っ直ぐな声で、

「職場の人間関係に恵まれてるんです」

そんな言葉が返ってきた。

釣りが趣味だという山﨑さんは、休日になると職場の仲間と釣りに行き、島内の釣りスポットや穴場を見つけては、日がな一日釣り糸を垂らしている。

「私、釣りは上手くないですよ。でもみんなで海に行って釣りしてるのが好きなんです。ちょっと前までイカ釣りにハマってたんですが、最近はなかなか行けてなくて‥」

SOMES倶楽部は、3月1日にオープンした。それまではSOMESにて食品の担当をしていたが、新店舗の責任者として抜擢されて以降は、多忙な日々を送っているという。

地杉の香り漂う職場で。

まるで、ハワイ辺りのベイサイドにあるような集合施設を思わせるウッディな建物。横並びの店舗の前に置かれた、地杉を縦割りにしたベンチは、木の温もりが直に感じられて座り心地が良い。約6つの店舗が入り、目的に合わせて様々な楽しみ方ができる。

例えば、24時間営業の”コインランドリー”で洗濯物を待つあいだ、隣の”カフェシリウス”でドリンクを飲みながらゆっくりするのもいい。

昼どきになると行列を作る”ら〜麺LABOたぶ川”の絶品ラーメンを堪能したあと、隣の”ダンススタジオ”で汗をかく人もいるだろう。

そして、地杉の展覧会のような”DIY工房”では、眺めているだけでも楽しい島の地杉を、併設されたDIYスペースで自分だけの作品に仕上げることができる。素人には難しい機械なども専門の店員が親切に教えてくれるから、安心して作品に没頭できる。

家具作りのヒントを得たければ、隣の家具屋”MOKURE”にふらっと立ち寄ってみるといい。ヒントどころか必ず欲しいものが見つかるはずだ。
これまで屋久島では手に入らなかったお洒落な家具や雑貨、そして家具のパーツなどが販売されている。モデルルームのように配置されたソファや絨毯など、インテリアのヒントになるようなものばかり。ちなみに山﨑さんは、”DIY工房”と”MOKURE”の責任者でもある。

「毎日地杉の香りに包まれて、職場が気持ちいいんです」

今後は様々なイベントを予定しているという。

施設を案内してくれながら、

「実はまだまだ不慣れで。周りに助けられながらやってます。この先、地杉の海外展開も考えていたり、工具をしっかり使えるようにもなりたいし。働きながら勉強の真っ最中ですね」

そんな胸のうちを正直に語る山﨑さんは、熱心な眼差しと時々見せる不器用さが混じり合う素敵な女性だ。オープンしたばかりで、大好きな釣りに行ける日はまだ先になりそうだが、屋久島初の商業施設を仕切る女性を、応援したい気持ちでいっぱいになった。

(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)

    • (name)SOMES倶楽部
    • (住所)鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田826
    • (TEL)0997–43–5963

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