一度は見てみたい!魅惑的な大気光学現象
屋久島は雨が多いので虹も多い島ですが、虹の他にも光による空の現象が見られることがあります。今回は屋久島で見たことがある大気光学現象をご紹介します。
まずは代表的な虹をご覧ください。
こちらはお天気雨が降っていた時に出た虹です。高い建物がないので大きな虹が見えます。左側はうっすらとダブルレインボーになっています。
天気が不安定な冬や夏はよく虹が見られます。車で15分走るだけで天気が変わることもある屋久島。慣れてくると虹が出そうだな、と外へ出てみて、やっぱり出ていたということもしばしばあります。虹を見るとなんとも幸せな気分になるのでありがたい自然からのギフト。
虹は大気中の水滴によって光が屈折、反射することで見ることができますが、大気中の氷晶によって見ることができる現象もあります。それが、ハロ(日暈)、幻日、環天頂アーク、環水平アークなどと呼ばれる現象です。氷の粒子は水滴よりも形が複雑なため、光の屈折、反射にもバリエーションが生まれるのです。
この中でも比較的よく見られるのが、太陽の周りに見える光の輪=ハロ。
こちらの写真は太陽の位置が高い11時頃に現れたハロで、光の輪がぐるっと一周しています。
こちらは同じハロですが、日の出後の早朝6時頃に現れたもので、空の色合いも絶妙です。
次は幻日という現象をご紹介します。上記のハロにも似ていますが、幻日は太陽の横位置に局所的に出現する光です。朝や夕方など太陽高度が低い時に見られ、この写真は朝の8:15に撮影したものです。この時は虹色に見えましたが、条件によっては白っぽく見えることもあります。
さて、上の写真のハロと幻日は山で撮影したものですが、山でしか見られないというわけではなく、里での目撃情報も挙げられています。
一方で、ほぼ山でしか見られない光学大気現象として挙げられるのがブロッケン現象です。ブロッケン現象は水滴や氷晶ではなく、霧やガスの粒子によりMIE散乱という回折、反射、散乱による複雑な動きによって見られる現象です。
自分の背後から太陽が当たり、前方にある霧やガスにMIE散乱して虹色の光輪となって現れるので、太陽が出ていること、太陽を背にして前方に霧やガスがあることが条件になります。
こちらの写真は朝日が登って来た後、前方の谷間にあるガスに現れたブロッケンです。少しわかりづらいですが、光の輪の中に人の形が確認できると思います。
「ブロッケン」はドイツ語で、ドイツのブロッケン山でよく見られたことからこの名前がついたということですが、日本語では「ご来迎」と呼ばれています。来迎とは仏教用語で、臨終の際に、阿弥陀仏や菩薩が浄土の世界から迎えにくることを言いますが、その時に光背を負うて来迎するのになぞらえて呼ばれるようになったそうです。それを知るとますますおめでたく、ありがたい現象だと感じます。
環天頂アークや環水平アークはまだ見たことがありませんがいつか見てみたいものです。
こんな大気光学現象を探してじっくり空を眺めるのも楽しいですね。