美しさの陰

こんにちは。YakushimaFilmのシュンゾウです。

12月に入っても屋久島の奥岳はグリーン一色! 風がなければ太陽の日差しはまだまだ山の気温(日中で10度前後)に負けないぐらいの強さで体を温めてくれます。晴天で空が真っ青になるともうそこは極楽の世界でございます。山に住みたい。。。笑

そんな幸せな屋久島の山岳世界ですが、今日は登山道にフォーカスして屋久島の美しくない山の実態をお伝えしようと思います。上の写真は栗生岳から宮之浦岳方面を写したものです。笹(ヤクシマダケ)の草原にのびる1本の細い登山道。日本百名山の100番目のラストの山である宮之浦岳へとつづく道は、何とも神聖なように見えます。しかし、近寄ってみると

道が人の背丈ほど侵食してしまっています。登山者が歩くたびに地面が少しづつ掘れ、大雨の時にその掘り返された土砂が下方へ流されていくということを何十年と繰り返しているうちにこうなってしまいました。屋久島は花崗岩の岩の島ですが、全て硬い岩で構成されているわけではなく、柔らかくもろい箇所もたくさん存在しています。そういう場所を登山道にするとこうなってしまいます。

もろい箇所が広範囲であれば笹の根の下の下層部分も写真のようにえぐれていってしまいます。このまま侵食が進めば、ここはやがて笹が大規模に崩れ落ちることになってしてしまうでしょう。

土留めとして打たれたクイが、宙ぶらりん。。。

侵食と止めるため、段差を登りやすくするために打たれたクイが役目をはたせず無残に横たわっています。登山道の施工方法を改める時期にきていると思います。

これらの写真はすべて栗生岳の山頂直下の道ですが、ここが特に侵食が酷いです。10年前はゆるやかなスピードでの侵食でしたが、ここ4〜5年で一気に侵食が進んでいます。この道のすぐ隣には谷筋があり、昔は水を補給できるぐらいの水量があったということを聞きました。現在、その谷筋にいくと枯れ沢になっています。

おそらく、この登山道ができた頃は降った雨は登山道をまたいで通過しながら、その谷筋にゆるやかに流れ落ちていき、登山道が多少えぐれて少しづつ登山道が水の道になりながらもオーバーフローした雨水は谷筋に流れていたのだと思います。しかし、大雨の水を全て受け止めるだけの溝が登山道にできあがると、もうその谷筋に雨水が行くことはなく、周辺の全ての水が登山道に流れ、そこが新たな沢になっていくのだと思うのですが、その現象がもうすでに起きているのだと思います。

これが、世界自然遺産に登録されている屋久島の山岳エリアの実態です。世界的に見てとても貴重な自然だから世界のみんなで守っていこうというのが世界自然遺産の目的ですが、美しい自然を一目見ようとする僕ら山好きな人間が、その目的と反したことをしているわけです。

山が大好きで愛しているのに、山を少しずつ壊している。

オーマイゴットッ!!なんて僕は矛盾多き罪深い山好きなのでしょう。。。心にぐさっとくるこの現実を何とかしようと自分なりにアクションを起こしたこともありましたが、なかなかうまくいかず、長年、無力感を抱いていました。が、しかし!屋久島に希望が見え始めています!

最近、環境省と屋久島ガイド連盟が、龍神杉の益救参道の施工方法でもある「近自然工法」の施工者の岡崎哲三氏をお招きして実地研修会を開催してくれました。その施工方法が屋久島の自然に沿ったやり方で、しかも屋久島の山にある素材で自然を修復していくという何とも素敵な工法だったのです。詳しくはYakushimaFilmでその時の研修会を動画にしていますので、是非以下のYoutubeをご覧ください。

参加してみて、これはいけるぞっ!と実感してます。が、とても地道なやり方で長期間を要します。そして、多くの人手を要します。パパッと一人でやって成果を出すのが好きな僕にとってはかなり苦手な分野ですが、侵食もジワジワと地道に進行してきたので、地道にやっていくしか道はないと思います。

そこで、多くの方にこの工法を知ってもらうイベントが12月12日に開催されます。以下が詳細のチラシです。

山が大好きで愛しているのに、山を少しずつ壊している。

だから、

山で遊んだら、山を治していこう。

山は歩けば必ず少しは削れていってしまうから、山で遊ぶことと治すことはこれからの時代、セットにして山と向き合うことがとても大切になっていくと思います。

そういう、山との関わりが素敵だよね、かっこいいよね、お洒落だよね。
そんなカルチャーをこの島で育んでいこうと思っています。

12月12日イベントは、僕も参加します!
今年、山で遊んだ皆さん。年末は山を治しながらいっしょにいい汗かきましょう!

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