屋久島イベントレポート 「屋久島未来ミーティング2022 〜今屋久島と、世界自然遺産30年を迎える1年をわたしたちはどう生きるのか〜」
今月より、MBC屋久島支局から、屋久島の最新情報をお伝えします。
12月11日(日)、安房公民館(屋久島町安房)にて、地域住民らが、屋久島の”未来”を見据えて行っている取り組みを発表・意見交換するイベント「屋久島未来ミーティング2022」が開かれました。
5回目を迎えた今回は、島外からの参加者も含め過去最高のおよそ120名が参加しました。
主催したのは、屋久島で環境教育などに取り組んでいるNPO法人HUB&LABO Yakushimaで、昨年は新型コロナの影響で開催できず、2年ぶり5回目の開催です。
イベントでは、「屋久島の未来」を見据えていろいろな取り組みを行っている、医療や福祉、水産、観光など様々な分野で活躍している13名がプレゼンテーションを行い、会場に集まった人たちは自分の興味がある分野に分かれて、それぞれのテーマの課題解決について、多様な視点と価値観で意見交換し、打開策や新たなアイデアなどを話し合いました。
医療分野 杉下智彦さん(屋久島尾之間診療所 院長) テーマ=「死を看取る」
「間もなく団塊の世代が後期高齢者に突入する屋久島、医療供給の課題がある」
「看取った人の数より、島を離れた人の方が圧倒的に多い。本当は島に居たくても、一人だといられない。」
現場からのリアルな声に、会場からも大きく頷きが。
観光分野の分科会(空港付近で人気のお土産屋さん“ぷかり堂”を経営される荒木さん ※写真中央)
テーマ=「旅の余白」について、多彩なアイデアが飛び交いました。
「雨で山に行けない日、出発まで少し時間があるとき、何をしたらいいだろうか?というお客様の問いかけに上手く答えられなかった。」
という問いかけに、参加者からは、
「雨の日にしか体験できない魅力的な場所を”雨マップ”として提供するのは?」
など魅力的なアイデアが寄せられました。
分科会の後、来年12月11日(世界自然遺産登録30周年)までの一年間で、行動することを絞り出し発表しました。
これは各事業者の取り組みを応援してくれる人を増やしていく狙いがあります。
~今回のテーマとした13分野~
医療・福祉・保育・教育・高校・水産・建築
観光・文化・アート・ガイド・種子島・ビジョン
(詳しいプレゼン内容はこちら)
基調講演は、「未来は辺境にあり ~離島の未来と可能性」と題して、甑島で様々な地域活動を実践されている山下賢太さん(東シナ海の小さな島ブランド株式会社 代表取締役)より、離島ならではの取り組みなど、勇気と元気の出るお話を伺いました。
少子化や環境問題については、宮之浦小学校の子どもたちの発表も。小学校で制作したアップサイクル作品の紹介や、実際に「婚活パーティー」を開催したレポートに、参加者一同、拍手喝采!
朝10時から8時間にわたるミーティングの内容は、模造紙8枚にわたるグラフィックレコーディングとして、会場内に掲示されました。当日の莫大な情報を視覚化してまとめることで、参加者の理解度を深めることができました。
主催者の一人 福元豪士さん (NPO代表)
「業種や世代を超えた、多くの繋がりを創出できた。離島に住む者として、いろいろな問題を自分事として共有できたのは大きい」
と、イベントの成功を評価しました。
「屋久島の未来、どうなっていたらいいかな?」
ある幼児の回答は、
「何も変わらなくていい。緑が残っていて何故か動物園ができている!!」
屋久島は”変わらなくていい”という言葉、
これが本当の屋久島の未来なんじゃないだろうか?
(ビジョン分野 福元さんの発表から抜粋)
次回の「屋久島未来ミーティング」は2023年12月に予定されています。
「屋久島」の未来は、「日本という島国」の未来にも繋がっています。屋久島島民に限らず、興味のある方は是非、島外からもご参加いただければと思います。
□ 記事:MBC屋久島支局 藤本新平
□ 撮影:笹川 健一 Kenichi Sasagawa