金田知博さん・幸代さん/YAKUSHIMA BLESS

“もので、ひとで、伝えていく屋久島。”
屋久島にしかないものづくりを集めた場所『YAKUSHIMA BLESS』

空港から南へ10分ほど車で走ると安房集落に入る。中心部の安房港へ下りる十字路の角に建つお土産屋さん”武田館”の敷地内に、『YAKUSHIMA BLESS』がオープンした。

「屋久島は、神様からの贈り物のような場所です」

金田知博さん・幸代さん/YAKUSHIMA BLESS

そう語るのは、金田知博さんと幸代さん夫妻。昭和37年から続く屋久杉加工品を取り扱う老舗のお土産屋さん”武田館”の3代目として、新プロジェクト『YAKUSHIMA BLESS』をプロデュース&マネージメントしている。店内には、屋久島の特産品を各業界の名だたるデザイナーや作家などとコラボし、それぞれの視点から”屋久島らしさ”を追求した作品などが並ぶ。これまでの屋久島にはない新しいアプローチが話題を呼んでいる。

ご主人の金田さんは、かつて世界中の一流ホテルで働いていた元ホテルマン。勤務先の屋久島で、家業の武田館に立つ幸代さんと出会い、その笑顔と接客に触れ、「なんて印象のいい子なんだろう!うちのホテルで働いて欲しい」と、見初めたのがきっかけだったという。しかし、気付くと金田さんはホテルの仕事を辞め、奥様をサポートするために、武田館へ婿入り。それまで世界中を渡り歩いていただけに、島のお土産屋さんで、小さなキーホルダー1つを売る仕事へのギャップに初めは戸惑っていたという。しかし、家業を継ぎ思い悩む幸代さんの姿を見て、「なんとかしてあげたい」と、夫婦で試行錯誤の日々が始まった。そして次第に島全体の観光業についても考えるようになったと語る。

「武田館には、今はもう手に入らない屋久杉の材木が眠っていました。それを見たとき、こんな素晴らしい屋久島の価値をもっと大切にしながら、お客様の手に届けるにはどうすればいいのか、と考えたのがYAKUSHIMA BLESSを作るきっかけだったんです」

プロの視点で屋久島の特産物や文化を商品に。

『YAKUSHIMA BLESS』の店内に入ると、爽やかな森の中にいるような、清々しい香りに包まれる。「屋久島をイメージしたお香を焚いているんです」と、説明してくれたお香は、北欧神話で世界樹と呼ばれる”ユグドラシル”をオマージュし、屋久島や縄文杉に思いを馳せた作品。東京香堂のペレス千夏子氏が調合したもの。近くには、木工作家の辻有希氏が製作した、希少の屋久杉を使った香立ても並ぶ。

金田知博さん・幸代さん/YAKUSHIMA BLESS

他にも、”たんかんとお塩”や”屋久杉”を練り込んだ自然に優しいリーメイハーバルソープや、エコバッグなど環境に配慮した商品も。そして”屋久杉磨き”のワークショップや、里にいても屋久島の森を体験できるVRを導入しており、ときに雨の激しい屋久島で、たとえアクテビティができなくなっても、ここに来れば様々な角度から屋久島が体験できる。

また、ブランドディレクション・ロゴデザインはデザイナーの伊藤孝成氏に依頼。山岳信仰が今も残る屋久島。神様との伝達ツールであった象形文字をモチーフにしたデザインは、太古に息づく屋久島の文化の一端を垣間見ることができる。今後は、ブランドコンセプトとして、豊かな自然を守るため、環境問題やオーガニックにも取り組んでいきたいと語る。

金田知博さん・幸代さん/YAKUSHIMA BLESS

「”BLESS”という意味は、”祝福”という意味があります。まずはプロダクトを五感で楽しんでもらうことで、屋久島がいかに自然から沢山の祝福を受けた場所か分かっていただけると思います!島を観光する前に、是非寄っていただきたいですね」
“いいものを守るためには、変わらなければならない”。それを証明するかのように、「いまがとても楽しい」と幸代さんが笑った。

(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)

YAKUSHIMA BLESS

  • 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房652-18
  • 0997-46-4610

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