富山美希さん/a heavenly kitchen

野菜の持つ色の美しさに魅了される天空のレストラン

紫大根に、赤い茎のスイスチャード、安納芋の優しい黄色にオレンジ色の小さな人参。皿の上に並ぶ野菜料理の数々は、隣り合う色が互いを引き立てあって、ひとつの絵画のような調和を見せる。

12月にオープンした「a heavenly kitchen」オーナーシェフの富山美希さんの料理は、視覚から元気をもらえるような、鮮やかな色合わせが特徴。島の宿泊施設で腕をふるっていた富山さんが手に入れた自分の城は、島の南、高平集落にある。果樹園が並ぶ農道に現れる片流れ屋根の白い建物、芝生の庭の向こうには、遠く水平線を望む。

12月の旬のおまかせプレート(2,000円)の皿に並んだのは、2種の里芋のパテの根菜と赤ワインソース、精進カキフライ、人参とズッキーニの黒にんにくソース添え、安納芋の豆乳マヨサラダ、赤かぶと柑橘のマリネ、青菜のクミン炒め。これに、紫大根のスープと自然栽培米と食後のハーブティーがセットになっている。

旬の屋久島産野菜を使うため、そのときどきで内容は一変。島の南から東まで、農業が盛んなエリアの直売所をまわって、野菜を集める。お米以外、すべて屋久島産の野菜となることも、珍しくはない。

東京の美容院でカラーリストとして勤めていた富山さん、「美容師の資格を持ってたら、引く手あまただよ」と屋久島在住の友人に誘われ、引っ越してきたところ、縁あって、宿泊施設で働くこととなった。

当初、料理人として雇われたわけではなかったが、出産を機に勉強した「菜食」や「オーガニック」の知識を活かした食のイベントが評判を呼び、気がつけば料理が仕事になっていた。

「島に来る前は、料理を仕事にするなんて思ってもいなかったけど、色の美しさを楽しむこと、手を使うこと、お客さまの反応を間近で感じられることは、美容院のカラーリストと同じ」「ミニコンサートをしてもらったり、花を生けてもらったり、ハーブティーをブレンドしてもらったり、様々な特技を持つ友人たちとともに、この場所を作り上げている。料理を通じて、いろんなコラボレーションができる場として、育てていきたい」と富山さんは語る。

レストランの予約は1人から可能で、食後のハーブティー付きの菜色プレートが2,000円〜。
ランチボックスは、1,000円〜。基本的に3日前までの予約必須だが、当日予約が可能な場合もあるので、気軽に問い合わせを。

(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)

a heavenly kitchen
https://www.facebook.com/a.heavenlykitchen
屋久島町麦生335-93

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