石川純平さん/「屋久島料理宿 鱗屋」

釣りガイドと海辺の宿、2束のわらじで屋久島の海の魅力発信

「地元が嫌で、高校から島を離れたはずなのに、屋久島の海の魅力から離れがたくて戻ってきた」という石川純平さん。案内した客の釣果を記録するSNSアカウントには、目を見張るような大物の写真が並ぶ。

「屋久島の海の魅力は何と言っても魚種の多さ。季節によって釣れる魚が変わる上、小さな島の中に個性豊かな釣り場がそろっているので、毎日のように通っても、飽きることはありません」。
1日1組限定で、ジギングやエギング、底物釣りや堤防釣りなど、様々な客のリクエストに合わせてプランを組み立てる。希望に応じて、遊漁船、沖堤防渡船、遊覧船を用意するほか、釣った魚を料理してくれる飲食店を紹介するなど、きめ細かいサービスが特徴だ。

都会での生活は充実していたが、一生続けていける仕事なのか迷いもあった。「30歳までには、一生の仕事を決めたい」。
2年前、Uターンした屋久島で釣りガイドとして顧客を増やしつつ、さらにこの春には、島の南東、高速船トッピーが発着する安房港のすぐそばに、「屋久島料理宿 鱗(うろこ)屋」を開業した。

名物は、石川さんの母による地魚をふんだんに使った郷土料理。特産のトビウオや首折れ鯖だけではない、地魚の魅力を食の面からも発信する。
コロナ禍の船出となったが、「今が底なら上がるだけ。釣り客だけでなく、メインの登山口に近い安房集落にあるので、登山客やビジネス客にも満足してもらえる宿を目指す」と前向きだ。

屋久島に来る観光客の多くは、縄文杉や白谷雲水峡を目指すが、海水浴やダイビングを含め、海の魅力はまだまだ周知されていないのが現状。「ゴミひとつ落ちていない屋久島の登山道のように、海目的の客が増えることで、人々の関心が海に向き、排水の水質改善や漂着ごみの削減につながっていけばうれしい」。
石川さんの大きな野望は、ゆっくりと着実に小さな一歩を踏み出したばかりだ。

(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)

  • (name)屋久島料理宿 鱗屋
  • (住所)屋久島町安房410-156
  • (TEL)0997-46-2120
  • (URL)https://yakushimaurokoya.wixsite.com/my-site
  • (備考)1階の食堂のビジター向けランチの営業時間は、月水金曜の11~14時。
    宿泊料金は、1人当たり素泊まり4,500円、2食付きで8,500円。

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