ヤドカリ夫婦/「屋久島ユースホステル」経営・イラストレーター

「家を持たず、モノを持たず、全国転々と旅暮らし」をしている「ヤドカリ夫婦」、この秋から、ゲストハウスを経営

この秋から、「ヤドカリ夫婦」こと、元建築士でイラストレーターの遊さんと元高校教師の北斗さんが、海の玄関口、宮之浦港に面した「屋久島ユースホステル」を経営している。

じつはこのふたり、春から、このユニット名で、SNS やインターネットのプラットフォームメディアを通じ、世界一周旅の様子をレポートする予定だった。家財道具を処分し、住まいを解約し、持ち物は、ダンボール1箱にスーツケース1個、バックパック2個。旅の準備は万端だった。
しかしながら、折からの新型コロナウイルスの影響で計画は頓挫、急遽、国内のゲストハウスを巡る旅に切り替えることとなる。

5月に全国のゲストハウスをつなぐオンラインイベント「REMOTE TRAVEL〜旅するように、家で過ごそう。」に参加した際に知り合った、阪根充さんの営む「屋久島サウスビレッジ」(屋久島町平内)を目指し、初めて屋久島を訪れたのは7月のこと。

「『縄文杉』や『もののけ姫』のイメージが強かったけれど、いざ来てみたら、山も川も海も豊かだし、温泉もあって、食べ物もおいしい。買い物にも困らないし、生活しやすい島だなぁと思いました」と遊さんは語る。

3週間ほど滞在した頃、阪根さんから「姉妹館のユースホステルを経営してみないか」と声をかけられた。思いがけない申し出ではあったが、シェアカフェのように、建物や設備といったハードはそのままに、ゲストハウスのソフトだけが入れ替わるというスタイルに新鮮さを感じた。
「元々、普段の生活では出会えないような人と交流できるゲストハウスが大好きで、あちこち泊まってきました。『ゲストハウスで働くこと』は、やりたいことのひとつだったので、申し出を受けることに迷いはありませんでした」と、未経験の仕事に飛び込んだ。

時節柄、常時満室ということもなく、阪根さんのサポートを受けながら、じっくりとゲストハウス経営のノウハウを身につけている。リニューアルしたばかりのホームページは、その第一歩。遊さんのイラストをふんだんに取り入れ、温かみのあるページを北斗さんが作り上げた。今後もインターネットで、屋久島情報を発信しながら、ふたりらしい宿づくりに取り組んでいく。(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)

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