佐藤明了さん/願船寺・一湊小学校学童クラブ

小さな学校の小さな学童クラブ

「ただいまー」
一湊小学校の校庭の一角に建つ、旧教員住宅「学童ハウス」には、ランドセルを背負った子どもたちが、次々にやってくる。手を洗って、水分補給したら、宿題を済ませ、目の前の校庭へ。

ヤマモモの実やシュロの葉、学年の異なる子どもたちが一緒になって、次から次に遊びを生み出していく。ボランティアは30代から70代までの地元住民。体力や知識に合わせて、それぞれ子どもたちとの遊びを工夫する。

運営するのは、2017年に、一湊小学校で始まった国内留学制度「黒潮留学」の実行委員会。この学童クラブを取りまとめる、佐藤明了さんは、一湊集落の「願船寺」の僧侶。熊本から移住して20年を越える。熊本で、10年以上、幼稚園の経営に携わった経験を買われ、学童クラブの担当になった。

夏は川遊び、冬は餅つき、学校の敷地を飛び出した活動では、子どもたちとボランティアだけでなく、保護者も交えて親睦を深める。ボランティアは、校庭の整備を手伝ったり、運動会や学習発表会の応援にも駆けつけ、児童数30人ほどの小さな学校を活気づけている。
「親だけに子育ての負担を強いるのではなく、地域で子どもを育てるのが、自然なあり方なのではないでしょうか?」。

サッカーで汗を流したり、川でエビをすくったり、道ばたで木苺や桑の実を摘んだり、すでに成人した3人の我が子たちとの記憶をなぞりながら、「自分は子どもたちと関わることが好きだったんだなあ」と改めて感じいる日々。
少子高齢化の進む集落と学校との新たな関係は、始まったばかりだ。(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)

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