丸山悟・まみさん夫妻&藤本新平さん

森のなかに静かに佇む、植物性の食材にこだわるカフェ。
みんなの”心地良い”が生み出す、木をテーマにした空間。

安房集落の県道から山手側に入り、山岳地帯に向かって5分ほど車を走らせると、縄文杉登山バスの停留所がある。駐車場に車を停め、奥へと続く緑の渡り廊下のような石畳を進むと、木造の建物が見えてきた。

「ne-」と書かれた真っ白い暖簾をくぐり店内に入る。木の香りに包まれた店内でテキパキと働くのは、丸山悟・まみ夫妻と、藤本新平さん。

Plant-basedは、“心地良い”選択のひとつ。

Plant-based Cafe &Act「ne-」は、2021年11月5日にオープンした植物性の食材にこだわるカフェ。”Plant-based(プラントベース)”とは、植物由来の原料から作られたものを、健康や疾病予防、そして環境問題の観点から、食生活の中に積極的に摂り入れることを云う。「ne-」で提供される食事やドリンクは全てこのPlant-basedに基づき考案されたもので、野菜やフルーツなどはできるだけ島で採れたもの、それ以外の食材もオーガニックなものを使用している。

「僕らにとってPlant-basedは、“美味しくて、心惹かれて、心地良いもの”です。大人も子供も安心して食べることができて、なおかつ地球にも優しい。そんな空間を提供することは、僕たちが”心地良い”と思う選択のひとつなんです」

そう語る丸山悟さんは、以前は店舗近くに建つ「屋久島環境文化研修センター」でインストラクターとして勤務しており、フィールドワークを通して自然の素晴らしさを伝えていた。山岳部へ向かう途中にあるこのエリアは、他に「屋久杉自然館」「世界遺産センター」などのビジターセンターが集まっており、敷地内には「7千年の森」と名付けられた散策コースも設けられ、豊かな森をさまざまな角度から楽しむことができる。

「”ne ”は、根っこの“ね”から名付けたんです。“人が心地良いと思うものは、人の根っこに繋がっている”という僕らが感じている思いを、食事や展示作品を通してお客さんと共有できる場所でありたい、そんな願いが込められています」

そしてもう1人。

「Plant-basedを選択することは、僕にとって自然なことです」

丸山さんの声かけで、共にne-の運営に携わっている藤本新平さん。藤本さんは、デザイナーでもあり、海岸で海洋ゴミを拾うビーチクリーンアップなどに取り組む環境活動家の顔も持つ。実は藤本さんの奥様もメニュー開発や仕込みなどを手伝っており、夫婦同士で様々なアイデアを共有しながら、運営しているという。

大人気の「ブッダボウル」、身体に優しいスイーツたちも。

森の清らかな空気と木々の香りに癒されると、身体が優しい食べ物を欲していることに気づく。無垢な木のトレーに並べられた焼き菓子に目を奪われつつも、注文したのは、ne-の人気メニューである「ブッダボウル」。

窓の外には、深緑の森がすぐ側までせまる。席に座り、ブッダボウルを待っていると、料理や仕込みを担当している奥様のまみさんが運んできてくれたのは、一つひとつ味付けの違うお野菜たちと、香ばしい色の高野豆腐などがひとつに盛られたカラフルな丼だった。かき混ぜながら食べると、多種多様な植物たちの華やかな味が広がり、不思議なほど全ての食材が調和している。

一皿で充分お腹いっぱいになるブッダボウルの後には、スイーツが待っている。選んだのは、「柿とスパイスのローケーキ」、それに加えてオーツミルクを使った「悟りラテ」もネーミングに惹かれ注文してみた。見た目や器の愛らしさだけでなく、安心安全な素材の持つおおらかで優しい味わいを、余すとこなく堪能できる。

きっかけは、「木と触れ合えるような場所にしたい」という思いから。

実は、店内でずっと気になっているスペースがあった。畳が敷かれ、木の玩具が並べられているキッズスペース。大人でも靴を脱いで寝転んでしまいたくなる。島の木で作られた玩具を自由に使って子供たちが遊ぶために作られたスペースなのだそう。

「実は、ここでカフェを開きたいと思ったきっかけのひとつに、”もっと屋久島の木のことを伝えたい”、という思もありました。カフェでくつろいだ後に、近くの”7千年の森”を歩いてもらいたいですね」

森林組合や製材所、島内で活動する木工作家からなる「木繋(きずな)プロジェクト」という屋久島の木を発信する取り組みも動き出しており、今後はne-もその発信場所としても活動していく予定とのこと。

ne-では、これから売り上げの一部を森を育てる活動へと繋げていくのだという。循環とは、
”心地良い”の連鎖が繋がった先にあるものなのかもしれない。

(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)

Plant-based Cafe &Act「ne-」

屋久島町安房2739-343
ne.yakushima@gmail.com
Facebook、instagramあり
電話なし

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