三好徹さん/ヘアサロンmizutoki

「パーマなし、脱色なし」 地球に優しいヘアサロンをはじめるきっかけとなった運命の出会い

鹿児島、種子島からの高速艇が発着、屋久島第2の人口を抱える安房集落。この街の真ん中「安房」バス停近くに、この春、オープンした「mizutoki」は、一風変わったヘアサロンだ。
パーマや脱色はなし。ヘアカラーも、ヨーロッパのオーガニック認証「ICEA(Istituto per la Certificazione Etica e Ambientale)」を取得した「ヴィラロドラ」の商品を選ぶなど、肌や地球環境に負担の大きな薬品は使わない。屋久島産の杉の無垢板をふんだんに使ってリフォームされた心地よい空間には、ヘアサロン特有の刺激臭がまったく感じられない。

オーナーの三好徹さん(大阪出身)が、屋久島でこうしたヘアサロンを立ち上げたのには、人生を変えるきっかけとなった大きな出会いがあった。
三好さんは、理容師と美容師、ふたつの資格を生かして、アメリカ・サンフランシスコのジャパンタウンのヘアサロンに勤務。フリーランスとなったのち、ヘアカットを通じた物々交換をしながら旅をしていた。

人づてに知り合った先住民レッドウィロウ族のLee Lujanさんの家に滞在しながら、伝統的なインディアンドラム作りの手伝いをしていたときだった。突然、Leeさんが怒り出した。
2016年当時、アメリカ・ノースダコタ州のスタンディングロック先住民居留地で、水源であるミズーリ川を横断する石油パイプライン(ダコタ・アクセス・パイプライン)建設への反対運動が盛り上がっていた。国内外から、200を超える先住民の部族が集まり、多くの先住民や支援者がキャンプをしながら、連日の運動を展開していた。

「現地に合流したいが、交通手段も時間もない」と嘆くLeeさんに、「今から一緒に行こう」と声をかけた。ニューメキシコ州からノースダコタ州まで、北米大陸の南から北へ。900マイル、22時間のロングドライブののちに到着した居留地では、滞在3日間ながら、あたたかなもてなしを受け、沖縄の人々への連帯の意思と共に記念のインディアンドラムを預かり、辺野古の反対運動の現場に届けるという大移動を果たした。

このパイプラインは、2017年に一旦稼働したものの、4年に渡る裁判の末、2020年、ワシントンD.C.連邦裁判所で先住民の訴えを支持し、稼働を一時停止する判決が下された。
こうした経験を経て、「美しい水を次の世代に残したい」という先住民の強い想いが、三好さんの生き方の柱になったという。

コロナ禍で自由な旅ができなくなった2019年、移住先に選んだのは、「水の島」屋久島。開業にあたり、「排水を極力汚さない」店づくりは当然のテーマだった。
「水に癒されるひと時を過ごして欲しい」と、シャンプーに力を入れており、理容室で一般的な前かがみタイプのシャンプー台と、美容室でよくみられるあおむけタイプのシャンプー台、どちらもそろえている。さらに、市販のオーガニック認証取得シャンプー以外に、三好さんが屋久島の植物をブレンドしたオリジナルシャンプーも選ぶことができる。

顔そりとシャンプー込みの男性向けカットは4,000円。シャンプーとブロー込みの女性向けカットは4,500円〜。シニアやキッズ割引もある。

mizutoki (屋久島町安房)
TEL 070-8975-2022
https://www.instagram.com/mizutoki_yakushima/
営業時間=水・木・土曜10〜18時

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