鎌田美智代さん/屋久島学校制服えがおの会・楠川倶楽部

リユースで困っている家庭を助けたい、新組織を立ち上げたベテラン民生委員

鎌田さんが「屋久島学校制服えがおの会」を立ち上げたのは、3年前のある出来事がきっかけだった。
民生委員(主任児童委員)として、屋久島町のいくつかの家庭を担当していた鎌田さんに、直接声をかけてきたひとりの少女。

「私が進学の時には、制服のお下がりをお願いします」。

入学準備用に新品を購入すれば、一式10万円はくだらない。親に負担をかけないように、自ら掛け合ういじらしさに胸を打たれた。

それまで、個人的な友人知人のつてで、担当家族の中古制服を見つけてきた鎌田さんだったが、希望のものがタイミングよく手に入るばかりではない。中でも、中学校ごとに異なる女子の制服の手配は難しかった。「個人の活動だけでは限界がある」と感じた鎌田さんは、屋久島町の社会福祉協議会、屋久島町民生委員・児童委員協議会にかけあって、「屋久島学校制服えがおの会」を立ち上げる。制服に限らず、ランドセルや学童用品など取り扱う品は多岐に渡る。

社会福祉協議会の施設だけでは、手狭になったため、自宅近くの元商店を借り上げ、「楠川倶楽部」と名付け、ここで在庫管理をすることになった。困っているのは、子どもだけではない。広い年齢向けの衣類や生活道具も集め、レンタルや物々交換などに利用できる場を作ろう。
「屋久島中の各集落に、こうしたリサイクルステーションができたら、島のゴミを減らすことにもつながるのでは」。ひらめいたら、実践あるのみ。物件との出会いに後押しされ、周囲の助けを借りながら、新たな挑戦に乗り出している。

「楠川倶楽部」のすぐ近くには、高齢者を中心とした「楠川サロン みんなの家」も運営し、多くのボランティアとともに、毎週土曜に創作活動や体操を行ない、利用者と昼食を共にしている。
その活動は実にエネルギッシュだが、「ホットな部分とクールな部分を常に意識して、自分のキャパシティーを超えないように気をつけている」と冷静な一面ものぞかせる。

民生委員4期目、10年を超えるキャリアの中で少しずつ、自分ができることを探り、広げてきた。「困っている人がいたら、見て見ぬ振りはできない」。
その活動はさざ波のように、周囲に影響を及ぼし、少しずつ社会を変えていく。
(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)


屋久島学校制服えがおの会/楠川倶楽部
毎月第3日曜日の午前中公開
楠川115(楠川消防詰所前)
TEL.090-3070-8296(鎌田さん)

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