屋久島の正月行事 「鬼火焚き、祝い申そう」
明けましておめでとうございます。2021年が始まりました。
さて屋久島では、年の初めの1月7日は忙しい一日になります。
午前中に七草のお祝い、そして鬼火焚き、さらに夜は祝い申そうと続きます。
ちなみに七草のお祝いは、数え年で七歳になった子供が神社で祈願をして、親戚の家や友人の家をまわり、お粥や炊き込みご飯をいただく行事です。
今回は、鬼火焚きと祝い申そうをメインに紹介します。
鬼火焚きは悪霊を焼き払う行事で、元々燃やす材料は門松が中心で家の入口にきた悪霊を集めて焼きはらう意味があるそうです。
屋久島では門松やしめ飾りを集めて、竹やウバメガシなどと一緒に燃やして、鬼の絵をてっぺんにつるして焼きます。
全国的にある行事で、どんと焼きとか左義長(さぎちょう)などと呼ばれます。
私の住む尾之間地区ではウバメガシの枝をもらって帰るのですが、これは家にもまだ残っているかもしれない悪いものを焼くためで、燃やすとパチパチと音がするのでパチパチの木と地元の人は呼んでいます。
あとは竹を細く割った物も持たせてくれます。竹を痛い歯にあてると歯の痛みが治まるという意味があるそうです。
炎の写真で悪霊退散の気分になればと思っております。
祝い申そうは、他の呼び方もあり「門祝い、門まわり」「福祭文(くさいもん)」
などと呼ばれます。
1月7日の夜に若者や子供たちが各家をまわって、お菓子屋、ごちそう、お酒をいただき
お祝いの歌を合唱します。
屋久島も若者が少なくなっているので、保存会、子供会、青年団など協力して行っています。
貴重な行事なのでこれからも残ってほしいと願っています。
歌詞を紹介します。各地区で少し歌詞も違うのですが、尾之間地区のものを紹介します。
「いつもよりことしは きどのまつがさかえた さかえたもどうりよ
にしのほうのえだには とびおがさがって
ひがしのほうのえだには さうすろいがとまって
さうすろいのまえには おいたるいねは
ひともとかえばせんごく ふたもとかえばにせんごく
そなたのやどをみわたせみれば
こめのたわらはせんごく もみのたわらはにせんごく
とおびはまんごく いをうてもうす
やまのもんのほん そなたのもんのほん」
意味が分からない部分もあるのですが、めでたい言葉がならんでいるのが分かります。
ちなみに「とびお」はトビウオ、「さうすろい」はウグイスです。
今年は新型コロナウイルスの影響で、祝い申そうは中止になりましたが、昨年撮った動画があります。みなさんにお祝いの歌を聞いていただき、これからの希望になればと思います。