屋久島にも春が来たと思っていたら、奥岳は冬景色が広がっていました!

春の長梅雨も終わり、いよいよ屋久島にも春がやってきました。

前回の「屋久島とケニアの魅力たっぷりワイルド温泉」を読み込んでいると、冒頭に「屋久島の里はすっかり春到来ですが、山間部ではつい先日まで雪が積もって通行止めになることもありました。」と記載されていたのを思い出し、今回ちょうど現場にいた自分から春に移り変わる貴重な屋久島の山間部の様子を紹介しようと思います。

屋久島の3月というと里の平均気温は14.-15℃程度。しとしと雨も降るが、場所によっては晴れているところもあり、風さえなければ過ごしやすい時期でもあります。
同時にこの時期は春の長梅雨の時期でもあり、島に住む人は「木の芽流し(きのめながし)」と呼び、落葉樹から広葉樹まで雨に打たれながら新芽を噴き出す時期でもあり、3月から4月あたりに島に遊びにくると、屋久島の森が一番ダイナミックに彩る時を「体感」することができます。
「体感」と記載したのは「見る」だけではなく、あまりにも強烈な自然の移り変わりを目の当たりにするので、身体中で春を感じるという思いを込め「体感」とあえて記載させていただきました。
それぐらい、この時期は島に住む人々の心を動かす時期でもあると僕は思っています。冬の寒さが通り過ぎていき、人々の心も段々と太陽に導かれるように心が開放されてくような感覚は、自然と共に生きる島の暮らしだからこそ体験できる楽しさの一つだと思います。

さて、この時期の里の景色からは想像できない奥岳の雪景色を「体感」してもらおうと思います。
3/21から22日に屋久島に最後になろうかと予想される寒波が訪れました。
宮之浦岳付近の天気予報を確認すると気温の部分に「マイナス」と表記されいるのを見て、もしかしたら山頂直下は雪景色になってるんじゃないかと、、、、
今冬最後の雪景色を見に行ってきました。

淀川小屋の外にある温度計を見たら「2℃」でしたので、標高約1,300m付近でこの気温だと、宮之浦岳は確実にマイナスになっているので、もしかしたら霧氷が見れるかもと期待に胸をふくらませてワクワクしてました。

※霧氷(むひょう)とは、過冷却された霧粒が風で木などに吹き付けられ、その刺激で氷となって付いたもの。木々に白い花が咲いたように見えたりします。

「小花之江河」付近までいくと水たまりが若干凍っていて、木道はスベスベの状態。
ここから先はかなり危険な状態が続きそうで、スピードもゆっくりに変わり慎重に歩くことにしました。

投石平までくると、思った以上に霧氷が広がっていて、期待通りの景色!
里では桜が咲いていて、あと1週間程度で白谷雲水峡の太鼓岩から見る「山桜」の景色が見所になる時だというのに、屋久島の奥岳はなんともまーこんな景色が広がっていて、、本当に屋久島は面白いところです。
この島は常緑樹の森が広がっているのですが、ところどころに落葉樹も混ざっており、常緑樹の緑色と、落葉樹の枝に着いた氷がとても神秘的な景色をつくってくれます。
こんな景色を見れるのもこの時期の登山の楽しみですね。

標高1,700m付近はこんな景色で、エビのしっぽができてました。霧氷のでき方をみると風がどの向きから吹いていたのかがよくわかります。木々に吹き付ける霧粒が瞬間的に凍り、その繰り返しでこの状態が出来上がるので、写真でみると右から左へと風が吹いていたことになります。当時の風の向きがわかると、写真から色々なことが見えてくるので、後で見直してみると楽しいです。

標高1,900mまでくるとこの姿!!
まさかここまでの景色になっているとは思ってもいなかったです。
そこらじゅうから風が吹き付けてきていて、あたり一面こんな世界になっていてかなりびっくりしました。

3月の山間部は本当に侮れません。
この次の日に天候が晴れ、午後には溶けてなくなったと聞き、あんなにあったのに全部溶けたのか、、、、とそれにもびっくりしました。

4月に入り、屋久島の山間部も新緑が下から上へと移動してきており、宮之浦岳周辺にもやっと春がやってきそうです。

※登山客に数名すれ違いましたが、全員まさかの雪景色といった感じで、靴なども軽装でこられている方もいらしゃってかなり苦労されていました。
 この時期に登山される場合は突然の寒波がくる場合もあるので、もしもに備えて冬の装備をしっかりと準備しておきましょう。

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