屋久島 集落の暮らし伝える家族写真展

鹿児島県の屋久島町で小さな集落の写真展が開かれています。展示されているのは、家に眠っていた古いアルバムの写真。そこからはかつての人々の暮らしが見えてきます。

屋久島の湯泊集落でおよそ60年前に撮影された写真。大人も子どもも生き生きと暮らしている様子が収められています。

写真展を企画したのは、屋久島から世界に島の自然や暮らしなどを発信している写真家で、屋久島国際写真祭・YPFの千々岩考道代表です。

湯泊集落は少子高齢化が進み、人口は111世帯189人。町内の26集落で8番目に少なくなっています。そんな集落の魅力を発信したいと、千々岩さんは家に眠る古い家族アルバムを掘り起こし、写真展を開いたのです。

(千々岩さん)「今回こうやって昔の写真を見ていて気付いたのが、結局、普遍的なものが写っているんですよね。子どもが子どもを世話していたり、仲良く暮らしている、変わらないものを感じますね」

湯泊集落に暮らす鶴田洋治さん(57)。両親が保管していたアルバムからおよそ150枚の写真を提供しました。

(鶴田さん)「よく稲刈りだったりとか農作業の農繁期のときはいろんな人が畑に来て手伝いをして、(子どもの頃)よく農作業に連れていかれて、遊びたいのになと思ったりしてたことが、記憶に残っています」

湯泊集落の暮らしで欠かせないのが浜辺に湧き出る、湯泊温泉です。波の音を聞きながら入浴できる露天風呂で、昔から憩いの場となってきました。

(鶴田さん)「昔はお風呂のない家庭もありましたので、生活湯ですよね。そこで汗を流して、地域のコミュニケーションの場になっている」

写真を保管していた鶴田さんの母・エミ子さん(84)や、90歳を超える住民たちも当時の暮らしぶりを鮮明に覚えています。

(山崎ハルエさん(94))「サトウキビをむいたり、田んぼを植えたりしたら、みんな夕方いっぱい入ってた、3つあったからお風呂が。いっぱい入ってたの。洗濯でもなんでもしたり」

(鶴田エミ子さん(84))「今は人口が少なくなって寂しいですね。貧乏はしてたけど、なんとなく、みんなで働いて」

(山崎ハルエさん)「やっぱり昔の生活はよかったよ。ただ芋を食べて」

千々岩さんは、集落の宝でもある湯泊温泉で写真展を開きたいと考えました。先月末、有志が集まり、温泉の入り口の壁に18枚の写真を展示しました。千々岩さんは、時代が移り行く中でも変わらない何気ない瞬間の大切さを感じてほしいと話します。

(千々岩さん)「懐かしさで昔ああやったこうやったという話しでコミュニケーションが広がるということも狙いのひとつですし、若い世代とか外から来た人に伝えてもらって、屋久島に住んでいるものとして何を大事にしないといけないか、守ったり受け継いだりすることが生まれる機会にもなれば」

写真展は今月31日まで湯泊温泉で開かれています。

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