屋久サバの里・一湊浜祭り

4年ぶりの催しが続く中、
祭りの賑わいが屋久島にも戻ってきました。

7月16日、
「屋久サバの里」として知られる一湊漁港で、
「一湊浜まつり」が開催されました。

朝、一湊港を一望できる高台で神事が行われます。
祀られている恵比寿さまに漁の安全や集落繁栄を願います。

神事のあとは、集落の子どもたちを中心に、
大漁祈願の海への餅まきが行われ、
大きく育って戻ってくることを願いながら、タイの稚魚が放流されました。

そしていよいよメインイベントの一つ、
漁船による「船団パレード」が始まります。

大漁旗を掲げた7隻の船が祭りに訪れた人たちを乗せて湾へと出港します。
漁船の軽々とした走りで夏の暑さも忘れるような爽快感と、海から一湊を一望できる滅多にない体験。

「今日の熱気はすごい。観光客も、他の集落からも大勢来てくれた人達に感謝。昔ほどじゃないけど、人が戻ってきて、賑わって、やっぱり嬉しい。このいい気を屋久島中に届けたいね。」
小倉證区長(70)は力強く語ります。

漁港周辺には集落内外からお祭りを盛り上げる屋台が出店。
一湊集落の工場で作っている鯖節をふんだんに使ったうどんなど、
地元ならではの食べ物も豊富に準備されていた。

一湊が好きで好きでたまらないと話してくれた、
一湊愛があふれる若者のグループ「waccasea(わっかし)」のお二人。
わっかしは方言で、若者を意味する。

集落を盛り上げるために作ったオリジナルグッズを笑顔で販売していた。

祭りの中盤は、サバのつかみ取りが大盛況。
子どもたちがプールで泳ぐサバを、全身ずぶ濡れになりながら掴み取り、
掴み取ったサバはその場で漁師さんが、
一湊伝統の首を折って血抜きをし、鮮度を保つ方法「首折れ」でしめてくれる。
これが屋久島ブランドの「首折れサバ」となっている。
この日は2日以内に水揚げされた65匹のゴマサバが提供された。

祭り終盤はダンスなどの舞台演芸や、参加型のスイカの早食い競争などが開催され、
老若男女混ざり合って、祭りを盛り上げた。
一湊の人なら誰でも歌えるという「一湊音頭」も披露された。

最後は、一湊水産同好会による30kgの天然カンパチの解体ショーが行われ、
大きな切り身や、レンコダイやチレ鯛など旬の魚が、今年は全て無料で配られた。

船団パレードも、サバの掴み取りも無料で体験できる。
一湊集落の歓迎の気持ちが伝わってくる。

なぜここまで出来るのか聞いてみた
「喜んでもらおうと。」
照れくさそうに笑顔で応えた漁師さん。
海に暮らす人達の「粋」というものなのだろうか。

今年の浜祭りは500人で賑わった。
来年は「海の日」頃の開催を予定している。

一湊浜祭りは体験できる祭りだ。だからこそ記憶に残る。
この活気あふれる祭りを体験し、大きく育っていく子どもたちは、
きっとこの夏の思い出を忘れないだろう。

<取材協力>
一湊区
一湊水産同好会
waccasea


記事
MBC屋久島支局 藤本新平

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