渡辺浩さん/平内区長・平内海中温泉祭り大会会長
屋久島で一番早い夏祭り!
あるときは“銀河万太郎”、あるときは“屋久島る、花子”、そしてあるときは“平内海中温泉祭り大会会長”、“高齢者交流サロンはおらま主宰”‥・
いくつもの顔を持つその人の正体は、島の南、平内集落の区長だった。
渡辺浩さんは、島の南にある平内集落の区長。毎年この時期になると平内公民館の裏のグラウンドは、賑やかな提灯で彩られ、島で1番乗りの夏祭り“平内海中温泉祭り”が開催される。
この祭りは、今年で19回目。小さい集落のお祭りといえど、毎年会場に入りきらないほどの入場客で賑わう。初回から祭りに携わる渡辺さんは、今ではもう、この祭りにはなくてはならない存在。祭りを盛り上げるため、360日島内外を奔走している。
「最近じゃ、駐車場が間に合わないほど人が来てくれます。もともとは、平内を好きになってもらいたい、屋久島を好きになってもらいたい、と始めたことです。嬉しいですね」
打ち上げ花火はない。あるのは、カラオケ、舞踊、屋台など。司会は集落の住民がマイクを取り、ローカルな話題で会場を笑わせる。渡辺さん始め、実行委員が頭を下げて提供を依頼した、豪華な抽選会も人気のひとつ。そして何より、渡辺さん自ら“銀河万太郎””屋久島る、花子” “キャサリン”など自作のキャラクターを演じ、舞台を盛り上げている。
「始めは手弁当でした。台風直撃のなか、建設会社から足場を借りてやったこともあります。出演者も最初の頃はなかなか集まらなかったけど、今は舞台出演の希望者が多くて、断るほど。お客さんも、島外からこの日のために、わざわざ島に来る人もいるんですよ」
そんな渡辺さんは、集落の爺ちゃん婆ちゃん達が集う場”高齢者交流サロンはおらま”を主宰している。お茶をのみながら、みんなで歌を歌ったり、おしゃべりをしたり。先日は隣町まで出掛け交流会を開いた。「何十年ぶりに会えた」と喜ぶ爺ちゃん婆ちゃんの顔を見ていると、“温泉にも入らせてあげたい”“買い物にも連れて行ってあげたい”と、やってあげたいことが溢れてくるという。
「爺ちゃん婆ちゃん達が、1人で家にいるのは寂しい。自分は平内という集落に育ててもらったから、恩返しがしたいんです」
平内海中温泉祭りは、集落みんなのための祭り。「○○おば〜」「○○おじ〜」など、司会者のマイクを通して、集落ではお馴染みの名前が飛び交う。そんなアットホームな祭りを皮切りに、屋久島の夏が始まる。
(取材: Written by 散歩亭 緒方麗)
平内海中温泉祭り
- 住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町平内
- URL http://yakushima-hirauchi.com/hot_spring_festival/