鮫島巧太さん/本坊酒造・杜氏

鮫島巧太さん/本坊酒造・杜氏

豊富な雨の恩恵を受け、島のいたるところに清らかな水を蓄える屋久島。
そんな島で造られる“手造り甕仕込み製法”の伝統芋焼酎を味わう。

鮫島巧太さん/本坊酒造・杜氏

安房集落の春牧地区にある“本坊酒造 屋久島伝承蔵”の杜氏・鮫島巧太さんは、入社13年目の31歳。 『太古屋久の島』 『屋久の島』 『屋久島大自然林』 『水ノ森』 『無何有』の製造を担当している。

「高校生のときから、職人というかっこいい仕事をしたいと思っていました」

そう語る鮫島さんは鹿児島県南九州市の出身。屋久島へは家族と共に2年前に赴任してきた。明治5年創業という古い歴史を持つ本坊酒造。その中でも“屋久島伝承蔵”は、昭和35年に開設され約60年間その味を守り続けてきた。ここでの焼酎造りは、“手造り甕仕込み製法”といわれ、その工程のほとんどが職人による手作業である。

鮫島巧太さん/本坊酒造・杜氏

芋焼酎造りは、まず手造りの麹を仕込むことから始まり、次に麹と酵母菌と水を発酵させた“もろみ”と呼ばれるものを5日間ほど発酵させる。
そこにサツマイモを加え、さらに9日間ほど発酵させると原酒ができあがる。しかしこの段階の原酒は、ガスや油で舌がピリピリし尖っている。味を落ち着かせるため半年~1年さらに熟成させることで、まろやかで美味しい焼酎ができあがるのだ。“手造り麹”のための麹室(こうじむろ)は、完全自然換気でしか温度管理できず、自動空調設備は一切使わない。そのため、湿気の多い屋久島の空気に触れたこの土地特有の麹ができあがるのだという。しかも、もろみを熟成させる甕は、明治20年から使われているものらしく、随所に伝承蔵ならではのこだわりが感じられる。

「製造が始まると、緊張からか不思議と風邪もひきません。妻からは、9月になると機嫌が悪くなる、と言われるんですよ」

製造は9月~1月までの間で行われ、非常にデリケートな麴菌を扱う杜氏は、この時期、常に神経を研ぎ澄ましている。こだわりは伝統だけでなく、素材に対しても同じである。

焼酎造りに欠かせない“水”は、超軟水と言われる島の水を使用。そのため甘みがあり柔らかくまろやかに仕上がる。またサツマイモは自社農園で栽培される島内産“シロユタカ”も使用する。屋久島は高低差が激しく芋作りに適した広大な土地が無いため、島産のサツマイモは大変貴重で当然コストもかかる。しかし屋久島の自然の恵みをたっぷりと受けて育ったサツマイモで造った焼酎は、それを超えるほどの美味しさがあり、フルーティーで洋酒のような香りの焼酎に仕上がるという。

「屋久島の水、屋久島の土地で育った芋、そして屋久島の空気に触れた麹で出来上がった焼酎は、ここでしか造れない味です」

蔵子だった時期は、先輩杜氏が語る微細な味や匂いの変化が分からなかったと言う鮫島さんだが、今はしっかりとそれらを感じることができるという。
大自然の中で生まれた焼酎造りの伝統は、若き杜氏の手にしっかりと受け継がれていた。

鮫島巧太さん/本坊酒造・杜氏

本坊酒造 屋久島伝承蔵

住所 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2384
電話番号 0997-46-2511
営業時間 9:00~16:30/年中無休(臨時休業あり)入館料無料 工業見学可能
ホームページ http://www.hombo.co.jp

関連記事一覧