野口真由美さん/書家・屋久島町文化協会長

「島に恩返しがしたい」。文化協会長として島内の表現者を支える。

野口真由美さん/書家・屋久島町文化協会長

「屋久島で生活ができるだけで、毎日とても幸せです」

そう語るのは、書家の野口真由美さん。島内で硬筆や毛筆教室を開催し、子供から大人までを対象に、“文字を書く”ことの面白さを伝えている。野口さんは、平成元年に東京から家族で移住。スタジオミュージシャンだった御主人と、同じく音楽関係の仕事をしていた野口さんだったが、屋久島へ旅行に来た御主人が、特産品のポンカンを口にしたところ、「この島が好きになった」と移住を決意。何不自由ない都会暮らしの真っ最中だった野口さんは、離島で暮らすことに初めはとても戸惑ったという。しかし「嫌だったら帰ってくればいい」という親族の言葉に背中を押され、当時5歳と3歳だったお子さんを連れて、一家で移住することになった。

野口真由美さん/書家・屋久島町文化協会長

「移住して、ほとんどが”初めて”のことばかりでした。でも都会での生活とのギャップを楽しむことにしたんです。それまでやったこともない新聞配達がとても楽しくて。そんな私を見て、島の人達はとても親切にしてくれました」

野口真由美さん/書家・屋久島町文化協会長

屋久島へ移り住んで31年、野口さんは書家としての立場で、屋久島町文化協会長を10年以上務めている。島内で文化活動を行う人々にとって、文化協会が開催する舞台や展示などのイベントは、年数回の貴重な発表の場。たとえたった数分の出演時間だったとしても、そのために必死で練習している演者さんたちにスポットライトを当てるため、発表の場を設け、宣伝や集客に力を注ぐのが自分たち文化協会の役目だという。「いまや私の身体全体が文化協会のようです。切ったら血が文化協会なんじゃないかしら!」と笑う野口さんだが、実はそのモチベーションは屋久島へ恩返しがしたいという思いからだという。

「あのとき親切にしてくれた方々や、私たちを受け入れてくれた屋久島に感謝してるんです。だからなんとかお役に立ちたいの」

とにかく字を書くことが好き。

野口さんは、小さい頃から、とにかく字を書くことが大好きだったという。現在もそれは”ずっと大好きな趣味”だと御本人は語るが、島内のイベントや式典、橋名板や集落の道案内板の題字を手掛けるなど、もちろんその活動は単なる趣味の範疇を超えている。また最近はヨガや太極拳、バドミントンなどにも熱心らしく、体幹が鍛えられ、書字への向き合う姿勢も真っ直ぐでいられると語る。    

「屋久島に住み、文字を書くことを通して、子供から大人まで様々な人たちと触れ合うことができます。”教える”という立場のはずが、実はいろいろなことを学んでいるんですよ。ありがたいことです」

筆を持つ野口さんのたたずまいからは、凛とした優しさを感じた。

(取材: Written by 散歩亭 緒方麗)

書家・野口真由美

  • 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房
  • 090-3075-1739

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