兵頭昌明さん/黒潮留学実行委員会事務局長
本物の自然に触れる原体験、少人数クラスできめ細やかな教育を受ける、というぜいたくを
「屋久島を守る会」の代表として、1960年代から島の自然保護に携わり、国による大規模森林伐採、国家石油備蓄基地計画、縄文杉ルートのロープウェイ構想の中止など、島民が中心となり、政治家や学者を巻き込んだ環境保護運動を繰り広げてきた兵頭昌明さん。
活動の根幹となるのは、ふるさと一湊の野山を駆け回り、海や川で泳いだ原体験だという。
「自分たちが幼少期を過ごした、豊かな海と森。高度経済成長期の国策によって、森が皆伐され、砂が売られ、海岸が埋め立てられ、驚くほどの速さで島の自然が損なわれていきました」
「自分たちの代で、この自然を損なってはならない、次世代に引き継がなければならない」と活動してきたが、気がつけば、母校である一湊中学校は、人口の減少により、2013年に閉校、それに伴い若年人口が流出し、小学校も全学年複式学級目前という事態に。
そこで、地域の人々や学校と協力して、屋久島町が取りまとめていた「山海留学制度」に手を挙げた。一湊小学校区の「黒潮留学」では、子どもだけを預かる「里親留学」ではなく、親子で島に暮らす「家族留学」制度のみを採用。親子は、最長2年間、月額3万円の補助を受け取りながら、家族で校区に暮らす。
周囲に子どもを預けられる親戚のいない世帯に配慮し、校内に、地域のボランティアで営む「放課後学童クラブ」も設けた。
応募受け付けは10月31日まで。屋久島町総合センター(屋久島町役場安房出張所)での面談は、11月16日、または23日の希望日に行われ、12月上旬に文書で結果が通知される。定員に達しなかった場合、2次募集も行う。屋久島町では、一湊小学校以外の小規模校にも、留学生を受け入れている。
(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)
屋久島町山海留学実行委員会事務局(屋久島町教育委員会教育総務課内)
- TEL 0997-43-5900