板井米法さん/屋久島おおぞら高校

大自然の中で羽ばたく鳥のように。屋久島をフィールドにした通信制高校

板井米法さん/屋久島おおぞら高校

屋久島の南に位置する平内集落を過ぎて海に向かって進んでいくと、海も山も見渡せる大きな敷地が見えてくる。屋久島を本校とした通信制高校”屋久島おおぞら高等学校”。 在籍する約8,000人の生徒たちは日頃は全国42ヶ所のサポート校に通っている。

板井米法さん/屋久島おおぞら高校

「誰かのために夢中になれたら」
そう語るのは、教諭の板井米法さん。屋久島おおぞら高等学校には、全国各地から生徒達が4泊5日のスクーリングに参加するために訪れる。「つながる場所。つなげる場所。なりたい大人になるために。」という学校のコンセプトのもと、
屋久島のフィールドを活用した自然体験等を通して、机上では学ぶことのできない”人との繋がり”や”自然との繋がり”を学ぶことができるという。

板井米法さん/屋久島おおぞら高校

「屋久島おおぞら高等学校へは全国各地から沢山の生徒が来島しています。参加する生徒の殆どは初対面で、それぞれが不安を抱えています。ですが時間が経つにつれ、生徒たちが勇気を出して誰かと繋がり、体験プログラムを通して自然と繋がることで、次第に自分と向き合えるようになってくる。そうすると、終わる頃にはすごく良い表情なって帰って行くんです。それを見れたときとてもやりがいを感じます」

そんな板井さんが教師という職業を目指すきっかけになったのは、高校生の時に出会った恩師の存在だったという。
「高校の時に3年間担任だった先生です。良いときも悪いときも、本気で向き合ってくれました。今考えるとすごくいい時間を過ごさせてもらったんだなと感じます。僕もいつかそんな先生になりたいです」

板井米法さん/屋久島おおぞら高校

様々な分野で多様性が唱えられる時代。だからこそ通信制高校の必要性がますます求められている。しかし、ひとえに多様性を認めるといっても、それは生徒だけの話じゃない。

「僕自身、屋久島おおぞら高等学校へ赴任した当初、先生同士での価値観の違いに驚いたこともありました。僕は小さい頃から野球一筋で体育会系でしたが、ある美術の先生と話したとき、あまりにも考え方が違っていて、”こんな考え方があるのか”と、そのとき初めていろいろな考え方を認め合うことの大切さを感じたんです」

板井米法さん/屋久島おおぞら高校

屋久島おおぞら高等学校では、常に”生徒にとってベストは何か?”を考え、生徒たちの心に寄り添えるよう、スタッフ同士で意見をぶつけ合っているという。

「生徒たちがこれまで”何を背負って生きてきたのか”、”何が不安なのか”。それを汲み取ってあげるのが僕らの仕事だと思います。それにしても自然の力ってほんとにすごいな、って感じます。自然に触れるとそれまでの不安な表情が変わっていくんです」

屋久島おおぞら高等学校の校舎を上から眺めると、屋久島の大自然の中に翼を広げ、悠々と羽ばたく鳥のように見える。そんな鳥たちの背中を押してあげるのが、板井さんたちの役目なのだろう。

(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)

屋久島おおぞら高等学校

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