鈴木由美さん/やくしま果鈴山のおやつ工房

「こんなに味の濃いみかんがあるんだ」、タンカンを初めて食べた時の感動を届けたい

鈴木由美さん/やくしま果鈴山のおやつ工房

島に絶景カフェ数あれど、5本の指に入ろうかと思われるのが、こちら「やくしま果鈴 山のおやつ工房」。
鈴木由美さんが夫婦で営む工房に併設された飲食スペースだ。

大きな窓からは、名峰モッチョム岳が正面にそびえ、明るい日差しが降り注ぐ。屋久島で最も温暖ともいわれ、農業も盛んな尾之間地区周辺は、野菜や果物の直売所も多く、真冬にも花々が咲き誇っている。

鈴木由美さん/やくしま果鈴山のおやつ工房

登山やマリンスポーツ好きというわけでもない鈴木さんを、惹きつけたのは、エネルギーに満ちた里の美しい景色だったという。生まれ故郷北九州にはない、生命力に満ちた風景。遠距離恋愛をしていた夫との結婚を決めたとき、新生活の場として真っ先に浮かんだのが、二人の出会いの地でもある屋久島だった。

「屋久島で子育てをしてみたい」

幸い3人の子宝にも恵まれ、家庭菜園の手入れをしながら充実した日々を送っていた頃、宿泊施設に勤めていた夫の独立話が持ち上がった。時を同じくして、屋久島特産のかんきつ類「タンカン」農園を引き継がないかという話も寄せられる。
「タンカンをそのまま出荷するだけではなく、自分たちならではの商品が何かできないか」。夫婦で話し合いや試作を重ねて生まれたのが、タンカンの香り高い焼き菓子「フィナンシェ ヤクシマーノ」だ。

2018年、カフェ付きの菓子工房「やくしま果鈴 山のおやつ工房」をオープン。カフェでは、屋久島産のフルーツを使った色あざやかなスムージーやジュースも提供している。タンカンはもちろん、パッションフルーツやグアバ、ドラゴンフルーツにスターフルーツ、生姜や梅やユズ、島の農産物のいちばんおいしい旬の味わいを多くの人に届けるべく、試行錯誤は続く。

様々な農産物に触れる中で、昨年生まれたのが、「屋久島フルーツバター」のシリーズ。屋久島産のフルーツにバターや卵を練りこんだパンのお供。増粘剤や着色料などの添加物を使わない自然な色が美しい。第1弾は、タンカン、パッションフルーツ、グアバの3種。いずれも数量限定で販売している。

鈴木由美さん/やくしま果鈴山のおやつ工房

起業のきっかけになったタンカンは、2月が出荷シーズン。畑では、オレンジ色に色づいた実が、収穫の時を待っている。

(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)

やくしま果鈴 山のおやつ工房

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