西橋啓太朗さん/西橋畜産

「じいちゃんを楽させたい」三代続く牛の繁殖農家

屋久島の南は、いつも暖かい風が吹いている。破沙岳と七五岳を見上げる平内集落の県道を海側に下ると、なだらかな勾配地に、のんびりとした黒い牛の群れが新緑に映える。

西橋畜産の西橋啓太朗さんは、この春、家業を継ぐため生まれ育った平内集落に帰ってきた。中学校まで島で過ごし、高校から本土へ。その後、牛の畜産を学ぶため、鹿児島・北薩にある『徳重和牛人工受精所』へ入社し、研修生として2年ほど修業を重ねたという。

「僕はずっと牛飼いになると決めてました。小さい頃から爺ちゃんや父ちゃんが牛の世話しているのを見てたし。自分がこれまで飯を食えたのは牛のおかげです」

屋久島の大自然で育った牛のほとんどが松阪牛に

屋久島で育った仔牛は、肥えすぎず骨格がしっかりしているのが特徴。そのぶん出荷後の成長が著しいため「あと伸びがいい」と、セリではいい値が付くという。いわゆる「サシ」と呼ばれる、赤身に脂肪が差し入る肉になるには、血統のいい遺伝子の掛け合わせがとても重要になるが、西橋畜産で飼われているのは、啓太朗さんの修業先でもある徳重和牛人工授精所から譲り受けた、良い血統の種から生まれた生粋の黒毛和牛。それに加え、屋久島の大自然の恵みを受けて育ったことも、評価の高さに関係しているという。なんと、屋久島育ちのメスの仔牛の8割は”松阪牛”の購買業者(肥育農家)に引き取られるているというから驚きだ。

「とにかく屋久島は水が綺麗だから、牛にとってもいい環境だと思います。あとは半放牧みたいに、傾斜地で広々とした土地にゆとりを持って飼っているせいで、牛はみんなストレスなくのびのびしてますね」

爺ちゃんの代わりになれば

啓太朗さんは現在24歳だ。遊びたい盛りの若者だというのに、早朝6時過ぎから牛舎の前に立ち、父親の優樹さんの後ろ姿を見ながら、日が暮れるまで毎日牛の世話に明け暮れている。

「いつか牛の屋久島ブランドを作りたいんです」

親子三代の夢は、啓太朗さんの手に託されている。

(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)

  • (name) 西橋畜産
  • (住所)   鹿児島県熊毛郡屋久島町平内

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