傘木風子さん/サロン湯の峯 カフェと暮らしの店

尾之間温泉の目の前にあるほっこり優しいカフェ

屋久島の南に位置する尾之間集落。モッチョム岳の麓にある尾之間温泉のすぐ目の前に、温泉上がりのポカポカした身体でついふらっと立ち寄りたくなるカフェがある。

黄色い洗面器型の看板が可愛いらしい”サロン湯の峯”の扉を開けると、
「こんにちは〜チガコさんです!」と、人懐っこい女性が自己紹介をしてくれた。するとその奥から、「こんにちは、どうぞ」と、ニコニコ笑いながら別の女性が現れた。

「多様性豊かなみんなに会いにきていただけたら!」

サロン湯の峯を運営している”NPO法人じゃがいものおうち”に務める傘木風子さん。柔らかい笑顔が印象的だ。

傘木さんは、「本物の自然を確かめたい」と、12年前に神奈川県から移住。もともと、”農”や”環境”に興味があったという。

「屋久島で暮らしていると、こんなに幸せでいいんだろうかと思います。悩みがあっても、山に入るとスッと消えていくんですよ。人もあったかい人ばかり。自然の魅力だけでなく、私は人のご縁にも恵まれてるなぁと感じます」

助け合いながら働く場所

サロン湯の峯は、障がい者支援を行う”NPO法人じゃがいものおうち”の利用者の就労支援も目的としている。傘木さんは、利用者のサポートや、サロン湯の峯のメニュー開発、接客など様々なプログラムに携わっている。

店内では、島の素材を使ったスイーツやドリンクメニューなどが提供されるほかに、生活雑貨や、豚味噌やタンカンジュースなどの自社商品、採れたての野菜なども置かれている。なかでも”よかたん豆腐”のお豆腐を使用したメニューが人気。こちらで豆腐の購入もできる。

そして、二階に上がると、地域の人たちがボランティアで持ち寄ったリサイクルの古着がぎっしりと並ぶ。こっそり覗いてみると、先ほど店頭で自己紹介してくれた利用者の”チガコさん”が畳の上に座り、丁寧に子供服をたたんでいた。

「利用者さんたちを”サポート”するとはいえ、実際はみんなで助け合いながら働いてるんですよ。ここは支援の場というより、”お互いを理解する場所”です。いろんな壁を取っ払って、みんなで共に生きているんです」(傘木さん)

店内では、スタッフや利用者さんの間で、「ありがとう」や「大丈夫?」と、お互いを労る声が聞こえている。

「みんながイキイキと自分らしく生きられる場所を作るにはどうしたらいいか、日々模索しています」

多様性に寄り添う、優しい味のスイーツたち

何をいただこうかと迷っていたら、傘木さんが豆乳ソフトクリームをオススメしてくれた。”よかたん豆腐”の豆乳を使用した真っ白なソフトクリーム。その絹のようになめらかな口当たりに感動する。

そして、冬のスイーツセットも。よかたん豆腐入り白玉が浮かんだ温かい”白玉汁粉”/ほんのり塩味が効いた尾之間産の黒蜜を使用した”潮風キャラメル”/屋久島茶の香りが高い”屋久島茶プリンのパフェ”/自家製大麦、おから、黒糖、タンカンピールをチョコレートでコーティングした”きらずチョコ”など。

「私は、屋久島の”多様性”に惹かれて、今ここにいるんです。自然だけではなく、人や、食材の多様性もこの島の魅力です。みんな多様性の中でお互い支え合って生きているんだなと感じます」

丁寧に作られたスイーツは、どれも、心がじんわり温かくなるような、とても優しいお味だった。

(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)

  • (name)サロン湯の峯
  • (住所) 屋久島町尾之間
  • (TEL) 0997–47–3317
  • (URL)Facebookあり サロン湯の峯 カフェと暮らしの店

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