我がタンカン娘の嫁入り
こんにちは、屋久島FILMメンバーの杉下真絹子(すぎしたまきこ)です。
みなさん、【タンカン】って食べたことありますか?
もしかして、聞いたことはあるけど実際に味わったことはない、という人もいるかもしれません。
果汁の多さといい、甘みと酸味の絶妙なバランスといい、濃厚な味といい、きっとこんな美味しい柑橘類があることに驚きを覚えると思います。
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太陽の恵みを受けすくすく育つタンカン
いま屋久島では、タンカンの最盛期。
2月から3月にかけて果樹農家さんたちは、最後の出荷作業に追われています。
少し前まで、屋久島の南部地域を歩くと、どこに行ってもタンカンが木に鈴なりで、なんだか時期を外したクリスマスツリーのようでした。
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モッチョム岳が見下ろすタンカン果樹園にて
Q: そもそも、どうして【タンカン】と呼ばれるようになったのでしょう?
A: 原産地の中国で当時行商人がタンカンを「短い桶(おけ)」に入れて売り歩いていたことから、【短桶(タンカン)】と呼ばれるようになったそうです。
次の質問です。
Q: 【タンカン】は何と何の掛け合わせか知っていますか?
A: ポンカンとネーブルオレンジの自然な掛け合わせからできたものです。
屋久島でタンカンの栽培が始まったのはおよそ5~60年前ですが、その後栽培はどんどん進み最近は栽培面積も生産量も全国一の産地になっています。
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贅沢なタンカン絞りたてのジュース
今や国内外でも【屋久島のたんかん】というブランドで知られるようになりましたね。
そもそも、これらは南国の温かい気候でのみ育つ柑橘類のため、日本でも限られた地域で栽培されているのです。
だから、とっても希少な柑橘類。
そりゃあ我が子のように、大切に育てられるわけですね。
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日焼けや鳥から守るためにカバーされたタンカン、まさにお嫁入り前の支度のよう
なんと最近では、東京の学校給食にも屋久島のタンカンが登場するそうです!
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タンカンちぎりが半分終わった様子、もうあと半分頑張ろう!
そして気になるのが、タンカンの栄養素。
ビタミンCはなんと温州みかんの2倍入っていると言われています。
それ以外にも、血液サラサラになるクエン酸が多く、抗酸化力も強くて美容のみならずがん予防にも注目されていて、女性にとっては気になるものばかり。
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たんかんはサイズ選別され、いよいよお嫁入りの箱へ
また、夏場に剪定で落とされた青いたんかんも、皮を乾燥させて火であぶると、線香として夏場の虫よけにもなって、無駄なく使えたりするのです。
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皮を太陽で乾燥させて夏場の虫よけに
先日、毎年恒例のタンカン品評会が尾之間集落や原集落で開催されていました。
尾之間では【尾之間むらづくりたんかん果実品評会】と称して、今年もJA種子屋久、屋久島町産業振興課、鹿児島県農林普及課が審査員として外観(色、玉揃い、キズ)、糖度、害虫チェックなど厳しい審査がなされました。
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尾之間むらづくりたんかん果実品評会の受賞者のたんかん
そして、金賞に輝いたタンカンの糖度はなんと13.5度。
私も試食しましたが、一般のみかんよりも糖度は高く甘いのに酸味もあって、今が旬!」とはこのこと。
今回出品されたタンカンは翌日集落の土曜市で販売されましたが、もちろんあっという間に完売。
数年前までは、町(旧屋久町の頃)全体で品評会を開催していたそうですが、今ではこれら2つの集落のみが行っています。
「こういった取り組みを絶やすことは簡単だけれども、続けていくことに意義があると思います」
と語る尾之間区長の日高典孝さん。
タンカン農家の高齢化に伴い年々出品者の数も減りつつある中、このような機会を通して果樹農家の皆さんがお互い切磋琢磨しながら技術と意欲、さらには所得の向上を目指してがんばっているそうです。
みなさんの食卓にも、南の島で一つ一つ手塩にかけて育てられた【屋久島のタンカン娘】いかがですか?
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紅も色艶もある玉揃いのたんかん、召し上がれ