屋久島とケニアの魅力たっぷりワイルド温泉

屋久島の里はすっかり春到来ですが、山間部ではつい先日まで雪が積もって通行止めになることもありました。

そんな肌寒い時期であっても、アツい場所と言えばこちら!

「温泉」

そもそも人口1万2千人が住む一周100キロちょっとの小さい島なのに、天然温泉が数カ所存在することをご存知でしょうか?実は断層のズレがあることもその一つですが、屋久島が九州を縦断する霧島火山帯にあって、霧島から桜島、指宿そして屋久島と一帯に温泉が湧き出ているのです。

実は、屋久島の自然に囲まれた野湯に入った時、なんと遠く離れたアフリカ・ケニア国で入った温泉のことを思い出したのです。以前仕事の関係で5年ほどケニアに住んでいたときに、よく通っていた温泉がいくつかあるのですが、屋久島と似て大自然と動物たちに囲まれた壮大な温泉なのです。

せっかくのなので今回は温泉という切り口で屋久島とケニアを紹介していきたいと思います!

まずは屋久島から行ってみましょう。

屋久島ワイルド温泉①【平内海中温泉】

海中温泉という名の通りこの温泉に入れるのは海から湯船が姿を現す干潮時前後4時間ほどの時間帯のみです。しかも、男女混浴なのでほとんどの女性は湯浴み着で入ります(水着着用は不可)。脱衣所もなく岩陰で着替えるのでハードルは少し高いと感じるかもしれません。源泉の温度は46.5℃なので冬場でも入るとゆっくりとじわじわ身体が温まっていくのがわかります。

平内海中温泉の入り口

平内海中温泉の入り口

こちらの温泉を利用する人は常に干潮カレンダーでチェックしています。そう、潮汐(潮の満ち引き)は月や太陽のちからが影響していることを考えると、大自然の動きを見ながら温泉に行くタイミングを計るのですね。そういう意味でも自然の摂理を感じやすい温泉なのかもしれません。

海中温泉

海中温泉

屋久島ワイルド温泉②【湯泊温泉】

湯泊温泉も同じく海に面していますが、干潮時間関係なく24時間いつでも入浴できます。湯船は男女別なのですが、簡易な仕切りがあるだけなので、女性には少し抵抗感があるかもしれません。

湯泊温泉の様子

湯泊温泉の様子

ただ、その奥に海に隣接した湯船があり、そちらは水着着用でも入れるため、個人的には手前の男女別湯船よりも気兼ねなくゆっくりしてしまいます。

奥の湯船の様子

奥の湯船の様子

温度は38.4℃と低めなので真冬は寒いと感じるかもしれません。温泉から上がった直後は寒いと感じても、その後は不思議と身体の内側からポカポカしてきて、これぞ温泉入った~、と実感できると思います。

屋久島にある多くの温泉はほぼ無色透明、微硫黄臭のアルカリ性単純温泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛などに効果があると言われています。巷では、美肌効果やアトピー効果があると言われていますが、紹介したワイルド温泉の魅力と言えば、やはり海を眺めながら温泉を堪能できること。

夕暮れ時に温泉から見える風景

夕暮れ時に温泉から見える風景

それこそ、目の前の海で泳いでから、熱帯魚、イルカや亀たちと一緒に泳いだ後に、そのまま温泉にザブンと入ることもできます。

また、24時間開放されているので、満月や満点の星空を見上げながら温泉に入るのもまた情緒たっぷりあって、それこそ同行した仲間や家族といつもよりも深い話ができるかもしれません。

満点の星空を見ながら温泉に入れる

満点の星空を見ながら温泉に入れる

そして、人があまりいない時であれば全身の力を抜いてぷかぷか浮いてみてください。
大自然に溶け込んでいく感覚や一体感を感じる人も多いはずです。
これこそ、野湯ならではの楽しみ方ですね。

温泉に入りながら空を見上げてみよう

温泉に入りながら空を見上げてみよう

さて、お待たせしました、次はケニアのワイルド温泉のご紹介です。

ケニア国ワイルド温泉①【マガディ湖温泉】

ケニアの首都ナイロビから南西に120キロ、タンザニア国境に近いマガディ湖から湧き出る温泉がこちらです。

マガディ湖の天然の湯船

マガディ湖の天然の湯船

この辺りにはマサイ族が住み、ほとんど雨も降らず毎日カラカラの灼熱状態だからか、40-45度の泉温がより熱く感じてしまいます。

温泉案内人のマサイ族

温泉案内人のマサイ族

また、温泉のpH値も10以上あって強アルカリ性のヌルヌルで塩濃度も海水レベルなため、真正面から「美肌湯」と言えます。というか、実際に温泉に入らなくても、その湯気を浴びるだけで、翌日のお肌がツルッツルになるのを必ず経験するほど、強烈な温泉なのです。

温泉に入るマサイ族

温泉に入るマサイ族

そのため、温泉からあがったらすぐに水で洗わないと、白い粉(塩)まみれになり、そこに灼熱の太陽を浴びると、すぐに真っ赤に日焼けしてしまいます。そういう意味でも、ワイルド温泉!

温泉周辺を歩く私とマサイの子どもたち

温泉周辺を歩く私とマサイの子どもたち

また、塩湖であるマガディ湖には珍しい藻やそれを食べる甲殻類やテラピアという魚などがいるのですが、そこに生息するフラミンゴやペリカンが赤みを帯びているのは、それらを食べて生きているという食物連鎖なども身近に感じることができます。

マガディ湖に生息するピンク色のフラミンゴ

マガディ湖に生息するピンク色のフラミンゴ

まさに温泉好きのわたしたちにとっては忘れられないアフリカのワイルド温泉でしたね。

ビーズアクセサリーを売るマサイ族の女性たち

ビーズアクセサリーを売るマサイ族の女性たち

ケニア国ワイルド温泉②【オルカリア温泉】

ナイロビから100キロほど北西に行ったところにあるナイバシャ湖の南に位置するヘルズゲート国立公園内の天然温泉がこちらです。公園にはキリン、バッファロー、シマウマなども生息していて、たまに温泉入りながら野生動物も見ることができます。

夕暮れのキリンたち

夕暮れのキリンたち

ケニア国で一番大きい温泉施設で、入ると硫黄の匂いがして巨大なにごり湯の温泉プールが広がっています。こんなに大きいのに、ほとんど人がいないのも驚きでした。

温泉の向こうにもくもくと地熱の湯気が出ている

温泉の向こうにもくもくと地熱の湯気が出ている

この一帯は活動的な火口からなるオルカリア火山帯があることから、ケニアを代表する地熱地帯になっています。ここにはアフリカで最初に建てられたオルカリア地熱発電所が稼働していて、実際に国の総発電量の約20%をこの地熱電力が支えているそうです。しかも、日本政府の技術支援が入っているとのこと、このことは多くの日本人には知られていません。

これら温泉の多くはアフリカ東部を縦断するグレートリフトバレー(大地溝帯)と呼ばれる巨大な地球の裂け目にあるのです。

グレートリフトバレーに生息する野生動物たち

グレートリフトバレーに生息する野生動物たち

ヌーとシマウマの大移動

ヌーとシマウマの大移動ヌーとシマウマの大移動

さて、今回屋久島とケニアの魅力あるワイルド温泉の紹介をしてきました。入ってみたい温泉はあったでしょうか。一見共通点がないように見える国や場所でも、こうして眺めてみると似ているところがあったりしますし、すべては母なる地球のめぐみで繋がっているのですよね。

アフリカ大陸を南北に縦断する巨大な渓谷リフトバレー

アフリカ大陸を南北に縦断する巨大な渓谷リフトバレー

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