池田恵さん/地域おこし協力隊
自身の経験を元に、屋久島町の移住に関する役立ち情報発信中
池田さんが、屋久島地域おこし協力隊の募集広告を見つけたのは、締め切りギリギリの数日前。何とかかんとか書類をかき集め、家族にも相談せずに慌てて履歴書を送った。
昨年9月の着任早々、島に大きな被害をもたらした台風10号の洗礼を受けるも、「まったく動揺しませんでした」とあっけらかんと語る。
横浜駅にほど近い住宅街で育った都会っ子ながら、毎年のように鹿児島の祖父母の家で夏休みを過ごしたという池田さん。1993年の8・6水害も経験した。
「網戸にくっついたカエルを弾いたり、川で泳いだり、鹿児島での夏休みがとても楽しかったので、わが子にも自然の中の暮らしを経験して欲しかった」という。
田舎暮らしに興味を持ち、「移住フェア」などにも足を運び、情報収集していたが、「地域おこし協力隊」活動は、農業など力仕事がメインで、自分には縁がないと思っていた。しかし、屋久島町の広告は、農業ではなく「移住支援」に関わる隊員の募集。ウェブデザインの勉強やニュージーランドにワーキングホリデー制度で長期滞在した経験を活かせるのではと、応募、採用された。
初めて、屋久島空港に降り立った時の娘の「私、ここ好き」という言葉のままに、3人の子どもたちはすぐに島を気に入り、馴染んだ。横浜で悩まされた待機児童問題とも無縁。気がかりだった末っ子の肌荒れもいつのまにか解消された。
「コンビニのない生活にもすぐに慣れて、意外と不便は感じません。子どもたちのおかげで、地域にもすんなりと馴染むことができたけど、そうしたきっかけがない方は、宿泊施設や飲食店など島の中に『知り合い』を作ってから移住すると、馴染みやすいかもしれません」とこの1年を振り返る。
コロナ禍での着任だったため、対面の説明会など、本格的な活動は今だにできていないが、オンラインでの移住相談やホームページのリニューアル、SNSアカウントの立ち上げなど、リモート作業を中心に進めている。
今、取り組んでいるのは、10月末に第1次募集の締め切りが迫る来年度の「山海留学」と「空き家バンク」の告知。
「山海留学」は、補助金をもらいながら、町立の小学校に通うことができる国内留学制度で、移住の足がかりとしても利用できる。「空き家バンク」は、登録物件の改修費用の支援などを受けることができる。
「必要とする人に情報を届けたい」
協力隊2年目は、はじまったばかりだ。
(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)
屋久島移住ガイド
https://yakushima-iju.com/