奥岳に冬の到来

ヤーマン ッ!

奥岳の風景が美しすぎてここ最近はずっとご機嫌なので、今日はジャマイカの陽気な挨拶ではじめてみたYakushimaFilmのシュンゾウです。屋久島弁の粋な挨拶、誰か教えてください。

奥岳の森では引き続き、落葉樹たちが次々に紅葉していますよ。

僕が屋久島の紅葉で最もお気に入りの木はアオツリバナ。

状態の良い葉は本当に美しいピンク色に染まり、心をホッコリさせてくれます。

そして、この御仁を知っている方は島内に結構いるんじゃないでしょうか。万代杉と同じように厳しい尾根に生きる巨大な杉で、無名ですがめちゃくちゃかっこいいです。他の植物が杉の幹や枝にくっついて生きる着生という現象が起きると、落葉樹が杉に住みだすわけです。それらが紅葉をはじめるとあたかも杉が紅葉しているように見えるんです。この「杉の紅葉」はこの10年でずっとテーマとして撮り続けていて、なかなか目が肥えてきてしまってますが、このカットはなかなか満足いってます。もう少しナナカマドが紅葉してからもう一度狙いところです。

ん〜、この時期は里に降りずに僕も山に着生して暮らしたいっ!

奥岳の森を抜け稜線に出ると、こんな感じの山肌をしています。写真は黒味岳です。

黒味岳に多いミツバツツジ(写真中央の枝にわずかに紅葉した葉が残っている木)が8割りがた紅葉を終え落葉している以外は、あとは夏山とあまり変わらない色合いでまだまだ緑の発色が綺麗な状態です。

しかし、山頂付近をよく見てみると薄茶のマダラ模様に気づきます。一部は笹(ヤクシマダケ)が枯れているものですが、その中にススキのような植物も枯れています。

この写真は平石付近から太吉ヶ峰を撮影した写真ですが、手前にあるこの植物です。この植物は特定できず名前はわかりません(知っている方がいましたら教えてくだい!)が、西日や朝日が当たると辺り一面が幻想的な世界に一変します。そこに身をゆだねて悠久の時の流れをイマジンしながら、ゆっくりとその風景に同化して浸るのが僕にとってはこの季節の醍醐味となっています。

こんな世界に遭遇してしまったら、もう山の世界から抜け出せません。笑

この穂が黄金色に染まって揺れている風景を見るたびになぜか、母がこぐ自転車の後ろに乗って幼稚園から家へ帰るあの時の空気の質感を思い出します。

山では忘れ去られてしまった過去の感覚が突然一瞬だけ蘇り、それを味わおうとするとすぐに消えてしまい、その後その感覚を取り戻そうと何度試みてもできずに終わるという経験をすることがよくあります。

山は人の心のスイッチをよく押してきます。
これもまた山の魅力ですね。

※11月18日現在、もう穂につく綿毛は9割りがたなくなっています。写真は今年の10月8日に撮影したものです。

吹きっさらしの稜線に生きる小さな高山植物たちも素敵に紅葉してました。花崗岩の隙間で生きるシャクナンガンピ(屋久島固有種)の紅葉の色合いは渋すぎて惚れ惚れします。

そして、こちらはアリノトウグサ(小さな赤い葉)の紅葉です。この植物はこの写真を撮るまで存在していることも知らなかった草です。目にはしていたけど全く興味がわかなかったので、完全にスルーしてきたんでしょうね。

ガイド山行の時のゲストが「この子めっちゃかわいい〜」と連呼するので、共感するために渋々カメラを向けてみると、、、確かに可愛いし、かなりきれいな赤の発色をしてました。

東京生まれの不感症の僕はこうやってこれまでたくさんのゲストから自然のハッとするシーンを教えてもらい、感動の引き出しを増やしてきました。 山は一人で旅するのもいいけど、いろんな人といっしょに歩くとそんな楽しさもあったりします。

山っていろんな楽しみ方があっていいな〜

そんなこと思いながら山の頂に立って眼下に広がる樹海を眺めていると

ん? 森に何か白くて光ってるところがあるな。写真を1枚とって液晶で拡大してみると

おーっ! 花之江河が真っ白! そして花之江河からはじまる花之江河沢の両岸の木々も真っ白。

この日(11月15日)の夜中は結構冷え込み僕の時計の温度計では気温は1度をマーク。雨は降らず星がよく見えていたから、この白い正体は雪ではなくて霧氷だと思われます。気温がグッと下がって空気中の水分が氷になったというわけです。

数日前には、アラレが降ったようです。いよいよ奥岳に冬が来たなと実感した山行となりました。

僕は花之江河にはいけなかったのですが、YakuhishmaFilmメンバーのササッチョがその日、花之江河にいて写真を撮ってたということで、最後に奥岳の冬の幕開けにふさわしい写真を紹介して終わりたいと思います。

アセビの葉を綺麗に縁取る霧氷

さあ、今年の奥岳はどんな雪山になるのか。楽しみでしょうがありません!

ワクワクがとどまらない屋久島の奥岳から冬将軍到来のお届けでした〜

では、またっ!

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