年に一度。本場仕込みの創作イタリアンを屋久島で

屋久島の一湊(いっそう)集落で今年も7月18日〜23日まで、大阪の西区に店舗を持つ『RiVi』が屋久島の人々に向けて料理を振る舞う。
食材だけでなく、店で使用しているこだわりの食器を持って、大阪から丸一日かけて車で屋久島へ来てくれたオーナーシェフの山田直良さんと、パティシェの栁澤(旧姓:馬場)一帆さんにインタビューした。

オーナーシェフの山田直良さん

屋久島の人たちを料理で喜ばせたい!そのきっかけは…

今年で3度目となる屋久島での出張営業。
この島の人たちは皆優しくて良い人ばかりで、ここに住む人たちに自分の料理を届けて、喜んでもらいたいと山田シェフは語る。

RiViのスタッフでもあり『ReRi』というRiviのお菓子ブランドの担当を務めるパティシエの栁澤一帆さんは屋久島の出身で、彼女の存在が屋久島への出張営業をする最初のきっかけであった。

大阪から屋久島へ帰省するのには、お金も時間も掛かる。
栁澤さんにとって、自分の作るお菓子を生まれ育った島の人に食べてもらうことは、長年の夢だったというが、生活が離れた場所にある以上それを実現するのは簡単ではなかった。
彼女の夢を叶えるべく、山田シェフは2022年に初めての屋久島出張を決めたのだという。

幼稚園の頃からの夢

栁澤さんは幼稚園の頃から、お菓子屋さんやレストランで働くことを夢見ていた。
初めて屋久島でお店を営業した際、当時一緒に幼稚園に通っていた友人が駆けつけ、幼い頃の夢を叶えた彼女のスイーツを口にした時、涙を流した。

真剣な表情で盛り付けをする栁澤 一帆さん

その姿を見た山田シェフは、年に一度は屋久島への出張を継続したいと思ったそうだ。

桃と完熟梅の創作デザート

 

料理へのこだわりとコンセプト

山田シェフは京都製菓製パン技術専門学校を卒業し、パティシエの修行を積んだのちにイタリアへ留学。その後フレンチも学び、今に至る。
コンセプトに掲げるのは”西洋で学んだ技術を日本の記憶で紡ぐ料理”。

太刀魚の三つ編み

日本人としてのアイデンティティを生かしつつ、誰が食べてもどこか懐かしく、それでいて新しい料理を表現するために、日々試行錯誤している。

インタビュー中は終始優しく穏やかな表情であった山田シェフ。
しかし、料理の話になった時の彼の目からは、料理に対して真っ直ぐな情熱と信念を感じた。

そして彼には、もう一つの大きな目標がある。

 

”飲食のブラックな印象を変えたい”

飲食の現場は確かに大変だ。その理由をあげたらキリがないほどに。
『それでも好きなことを仕事にすることは楽しく幸せ』
彼の作る料理からは、そんな声が聞こえた気がした。

終始笑顔で楽しそうな山田シェフ

現在リニューアル中で今年の10月にオープン予定のお店は、これまで以上に”シンプルさ”を楽しんでもらう空間にしたいという。
原価の高騰や人手不足が深刻化する世の中だからこそ、持続可能な働き方の答えは意外にシンプルなことなのかも知れない。

サルシッチャのパスタ

『楽しいと思うことをする。』
屋久島への出張営業も、彼のこのような想いが形になったものであると感じた。

今回のRiViが出展する場所は、屋久島ギャザーハウス&カフェ キヨコンネガイ
Map:https://maps.app.goo.gl/6fEK3RE5inhgBgwG6
この場所は栁澤さんの姉で、屋久島で書道家として活躍する馬場貴海賀さんが現在管理しており、普段は彼女が経営する宿のゲストと地元の人たちが交流する目的などで使われている。
今の建物が建つ前は、二人の母方の実家があったそうだ。

屋久島を拠点にする馬場さんと、地元に貢献したいという栁澤さんの想い、そしてそれを全面的にサポートする山田さんがいて、この期間限定の出店が成り立っているのだ。

屋久島に住む一人の町民として、彼らのような素敵な想いを持った人たちに対し、感謝の気持ちが込み上げてくる。
年に一度の出店が、これからも長く続いて町民の幸せに繋がっていくことを願う。

Photo & Text:SHU ITO

出店の詳細

7/18〜20はスペシャルコースのみの営業

①11時〜(¥5,000税込) ②13時半〜(¥5,000税込) ③18時半〜(¥10,000税込)
*ドリンク代別

21日〜23日
営業時間:12〜18時くらいまで。予約不要のカフェ営業

大阪の店舗紹介

R i V i (リヴィ)

Tel: 06-6136-6830
営業時間:12:00~15:00, 18:00~23:00 / 不定休・完全予約制
住所:〒550-0003 大阪市西区京町堀1-16-28(Map:https://maps.app.goo.gl/AQBfV8w3gjfh8ADg9
ホームページ:http://www.rivi1122.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/rivi.osaka/

オーナーシェフ 山田直良(ヤマダ タダヨシ)
1981年大阪府生まれ。2001年京都製菓製パン技術専門学校卒業後、パティスリーやカフェで3年ほど修業。2004年から、大阪・京都のイタリアンレストランで4年修業。2008年、渡伊。ボローニャを中心にフィレンツェやトリノ近郊で経験を積む。2009年、帰国。大阪【ル・ヌー・パピヨン】【Bistro a vin DAIGAKU】でスーシェフとして活躍。2011年5月、独立。八尾市で【ラ・リサータ】開業。2017年11月、肥後橋に移転し【RiVi】開業。
インスタグラム:https://www.instagram.com/risata0510/

パティシェ 栁澤 一帆(ヤナギザワ カズホ)
屋久島町一湊生まれ。辻製菓専門学校を卒業後フランスのリヨンに留学。その後ロレーヌ地方のお菓子屋さんで修行。RiViに就職して今年で5年目。
Riviのお菓子ブランド『ReRi』の責任者を務める。
インスタグラム:https://www.instagram.com/baba_au_kazu/

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