国本美樹さん/「ANANDA CHILLAGE」 (ホテル+ヨガスタジオ)オーナー
生活の拠点を屋久島に。ホテルも併設されたヨガスタジオのオーナー。
屋久島の南に位置する平内集落は、一年を通して暖かい日が多い。のどかな日差しのなか県道から海に向かう細い道を下りていくと、ひときわお洒落な建物が見えてきた。
ヨガスタジオ&宿泊施設“アナンダチレッジ”。ドアを開けると、無垢な杉材の床と珪藻土の壁で建てられたナチュラルな空間が広がる。
スタジオ奥の海が望める大きな窓の前に立ち、ヨガを教えてくれるのは、国本美樹さん。都会での生活にピリオドを打ち、2013年に家族の生活の拠点を東京から屋久島に移した。現在、美樹さんと8歳の娘さんは屋久島に住み、ご主人の真治さんは東京と屋久島を毎月行き来しながら仕事をしている。
「生活の場所を屋久島に選んだのは、この大自然と、人が生きるのに必要な’’水’’が綺麗だったからです」
東京で暮らしていた国本さん夫妻は、いずれ南の島に住みたいと場所を探していたという。そんな時、先に移住した友人の勧めで屋久島へ来島。どこでも美味しい水が飲め、なおかつ神秘的な森を持つ屋久島に惹かれた。
「自然豊かな屋久島に住みヨガをしていると、人間の本来の姿に還っていけるような気持ちになります」
アナンダチレッジは毎週平日の午前中にヨガ教室を開催している。全米ヨガアライアンスインストラクターの資格を本場インドで取得した美樹さんは、実はヨガだけでなく様々な資格を持つ。マクロビオティック師範、フードコーディネーター、ローフードインストラクター、その他アーユルベーダも勉強した。
「それぞれアプローチは違いますが、これらのものは全て繋がっていたことに気付きました。“陰陽の調和”や“自分の中心に戻っていく”ということを意識すると心身の平安を得られるんです」
ヨガ教室ではポーズの前と後に「オーム」と唱えるが、最初はバラバラに聞こえていても、ヨガを行った後はみんなの声が一つに響き合い、人と自然の調和を感じるという。スタジオ隣に併設された宿泊施設に滞在し、ヨガで心身を整え、研ぎ澄まされた感覚で島の森や海に入るのは、きっと至福のひとときだろう。
「この土地に拠点を置き、ヨガをしながら、大自然の中で子育てをさせてもらえていることに毎日とても満たされています」
都会神話が壊れつつある今。それぞれの生き方を模索する現代人の憧れの生活と、豊かな時間の過ごしかた。その答えはアナンダチレッジで見つかるかもしれない。