yu-さん/写真家

“カメラは自分の一部”屋久島で活躍する女性カメラマン

細い両腕に重そうな機材を抱え、ニコニコ笑顔でやってくる。両手でカメラを覗き、「はーい!じゃ撮りまーす」、柔らかい声でそう言われると、レンズの先の被写体が、どんどんナチュラルな表情を見せはじめた。

写真家/yu-(ゆう)さん

yu-(ゆう)さんは、屋久島を中心に活躍する写真家。島へは2008年に移住。移住前は東京で写真スタジオに勤務し、ファッションフォトグラファーのアシスタントをしていた。移住後は、ウェディングフォト、記念写真、旅行雑誌や島内の季刊誌、そして屋久島や海外の写真祭に出展するなど、カメラ片手に島内外を駆け回っている。

そんなyu-さんだが、かつては「自分は本当に写真が好きなのか?」と、流行や情報の多い都会の中で自問自答する日々を過ごしていた。自分の気持ちを確かめたくて「どこか違うところへ行ってみよう」と、リゾートバイトの場所を屋久島に決めた。仕事の合間に、島の子供たちと遊んだり、地元の人に釣りに行ったりと、島民と触れ合うことで、それまで抱えていた概念が取り払われていったという。

写真家/yu-(ゆう)さん

「都会では自然と街の境目があるけど、この島は、人と自然の境目が無いと感じました。島の子供たちは、自然の中で遊ぶ術を知っていて、大人も自然を活用してもの作りをしている。“無いから買う”ではなく、“無いから作る”。島に来て、そんな人たちを写真に撮りながら、『カメラさえ持っていればどこに行っても楽しい。カメラは自分の一部なんだ』と気付いたんです」

yu-さんの写真は、2つの表情を持っている。ひとつは、“自身の内側を表現する写真”、もうひとつは “求められていることを表現する写真”。
「競争や流行ではなく自然の中で生きていると、自分の表現したいことに素直になれました。今は、この2つのバランスが取れてきたな、と感じています」
相棒のレンズ“ライカズミルックス50㎜”も、yu-さんの表現を強力に後押ししてくれている。

写真家/yu-(ゆう)さん

写真家/yu-(ゆう)さん

「例えば“人”を撮るときは、その人の一番素敵だなと思う表情を大事にしています。私の写真を見て、いいなぁと感じたり、喜んでくれる人が増えてくれると嬉しいです」

カメラを覗くyu-さんのそばには、1歳になる息子さんが座っている。母になり、これからよりいっそうyu-さんの表現は広がっていくのだろう。

Written by 散歩亭 緒方麗

yu-

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