緒方健太さん/屋久島森まつり実行委員長
秋の夜空を見上げながら森の中に響き渡るハーモニーに包まれたい
“やくしま森祭り”
「やくしま森祭りは、アーティストと島民が一体となって作り上げるイベントです」
そう語るのは、"やくしま森祭り"実行委員長の緒方健太さん。安房集落の出身。今年で14回目の開催を迎えるこのイベントには、商工会青年部として初回から携わっているという。
”やくしま森祭り”は、毎年島外からプロのアーティストが集い、屋久島の大自然の中で行われる音楽イベント。宮之浦埠頭駐車場から送迎バスに乗り込み会場へ降り立つと、カメヤマキャンドル提供の数千個のキャンドルがステージへと誘う。川沿いの細道を歩き、観客席の芝生いっぱいに敷き詰められた幻想的なキャンドルの灯りにたどり着く。すると中央のステージでは光の切り絵アーティスト酒井敦美氏によるプロジェクションマッピングが秋の夜長を華やかに演出している。
島の子供たちにプロの音楽を聴かせたい
毎年、名だたるアーティストが出演することで話題を呼んでいるこのイベント。実行委員会副委員長である、シンガソングライターの池田綾子氏と、ジャズピアニストの塩谷哲氏の人脈で様々なアーティストが来島してくれるという。
「僕たち地元のサポートスタッフは、屋久島のために声をかけて下さっている、このお2人のお人柄に突き動かされています。お声をかけられたアーティストの方々も『屋久島へ行きたい』という思いで快諾してくれると聞いています。いろんな意味で屋久島らしさが見え、みんなの思いが1つになりイベントが作られていくことに毎回感動しますね」
そんな運営側の熱い思いは、イベントのコンセプトにも反映されている。まず、電力を最小限に押さえたエコなイベントであるということ。当日は、会場内の灯りのほとんどはキャンドルが任されており、出店している飲食店で利用する紙皿などは再利用できるものを条件とするなど、環境に配慮した取り組みが屋久島らしさを感じる。そしてもうひとつは、普段プロのアーティストに触れる機会が少ない島の子供たちに、間近でプロの演奏や作品に触れて欲しいという思いから、地元のスポーツ少年団がボランティアスタッフとして、会場の設営などを手伝う。
「島の子供たちが、イベントに携わり、プロのパフォーマンスに触れたり、エコロジーについて考えるきっかけになり、何かひとつでも人生が変わってくれたらいいな、という思いですね」
「子供たちやお客さんたちが『良かった』と言って帰ってくれる姿を見ると胸が熱くなります。でも僕、昔はこんな熱い人間じゃなかったんですけどね」
そう言って笑う緒方さんもかつては大自然の中で思い切り遊んでいた”島の子供”だったという。いまは島の大人として、子供たちのため、わざわざ屋久島まで来訪しパフォーマンスしてくれる様々なアーティストのため、そして何よりイベントに足を運ん下さるお客様のために、イベントを仕切っている。今年の秋も、美しいハーモニーが屋久島の森の夜空を舞うのだろう。
(取材: Written by 散歩亭 緒方麗)
屋久島森まつり
- 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦総合自然公園
- http:www.morimatsuri.com/
- ※入場寄付:島内大人2,000円・島外大人5,000円/高校生以下無料