義山正浩さん/社会福祉法人 愛心会

鹿児島市や屋久島町、与論町で6箇所の特別養護老人ホームなどを運営する「社会福祉法人 愛心会」の理事長、義山正浩さんの拠点は屋久島にある。

義山正浩さん / 社会福祉法人 愛心会

鹿児島市から屋久島に転勤して15年。
この春、創刊した無料の福祉マガジン「わぁも」は、15年間の集大成ともいえる1冊。屋久島中の福祉法人をひとつにまとめた組織「ALIVE屋久島」事務局が発行する情報誌だ。福祉の現場で働く人や利用者の声を豊富な写真とイラストも交え、わかりやすく伝えることで、現場の人出不足解消を目指す。

義山正浩さん / 社会福祉法人 愛心会

インタビュー場所となった「カフェギャラリー百水(ひゃくすい)」は、愛心会が営む就労継続B型事業所「屋久の郷」に付随する施設。店頭で販売するパンが、店内で食べられるほか、カレーやパスタなど、ランチも提供する。壁には、利用者の絵画が飾られ、物販スペースには、絵画をもとにしたTシャツや缶バッジ、利用者による陶器や刺繍バッグなどが並ぶ。

もともと、飲食をメインで提供していたこの施設も、義山さんのテコ入れによって、利用者一人ひとりの作家性を尊重した作品発表、販売の場として、2018年に生まれ変わった。

福祉とは無縁の学生時代をおくってきた義山さんは、想像もしなかった未来に立っている。
「映画や文学、美術に夢中の学生時代でした。ここで目に見えている飲食やアートだけでなく、農業や島の歴史、アロマセラピーや木工など、あらゆる分野とつながることができるのが、福祉の魅力。就職したばかりの頃は、意識しなかったけど、今こうして、当時の寄り道が生かされているのかもしれません」。そんな話をしながらも、利用者が見せにくる作品を一つひとつ手にとっては、心から関心を寄せ、感想を伝える。

今の夢は、利用者が年老いても安心して過ごせるようなグループホームの設立。コレージ型でプライバシーも守られつつ、事業所に通ったり、カフェでくつろいだり、そんな「豊かな村」を作れたら、利用者だけでなく家族の安心にもつながるのではないか、こうしてプライベートもずっと仕事のことを考えている。

義山正浩さん / 社会福祉法人 愛心会

豊かな自然に囲まれた屋久島にあって、海にも山にも行かない、自称「ワーカホリック」。「出張も多く、本当に仕事ばっかりしています」と笑う。出張からの帰り、飛行機や高速艇の窓から島陰が見えるとほっとする、いつの間にか屋久島は「ただいま」と帰ってくる場所になった。

(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)

社会福祉法人 愛心会

https://aishin-kai.or.jp/

カフェギャラリー百水

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