湯の里 尾之間温泉祭り

3週連続で開催された屋久島のお祭り、一湊、平内地区と続き、
7月末、島の南部、尾之間管理センター広場で、尾之間温泉祭りが開かれた。

夕方、
モッチョム岳を背景に尾之間地区のメインストリートに大勢の人が集まる。

婦人会、老人クラブ、地元の子供達で構成された踊り連が、尾之間音頭やハンヤ節にあわせて会場までを練り歩いた。4年ぶりの開催に、踊り手と沿道で手を振る方々との笑顔が印象的だった。

連の中には子どもたちの声を響かせたいと25年前に作られ大切に受け継がれてきた、屋久杉製の子ども神輿も登場した。

舞台では中学生の吹奏楽演奏を皮切りに、太鼓やダンス、舞踊などが続く。

屋台には地元のNPO「じゃがいものおうち」も出店。
地元産のじゃがいもを使ったジャガ串や、大きなわたあめに長い列が出来ていた。

手作りのねぶた灯籠のモチーフは尾之間温泉に祀られる「龍神」
1ヶ月以上前から、多くの人と作り上げた力作。

3週連続で祭りを取材し大きく感じたのが
それぞれの地区に、名司会者がいるということ。
祭りのはじまりから最後の抽選会に至るまで声を張り、会場を盛り上げ続ける圧巻のトークが印象的に残った。

来場者に今日の見どころを伺ってみると、皆さん口を揃えて、「婦人会!」「(プログラム)最後の婦人会は見なきゃだめだ。」と話す

最後の演目として登場したのが、婦人会を中心とした舞台メンバー。
演劇タイトルはその名も「千と千尋の尾之間温泉」
溢れんばかりの観客が見つめる中、歌に音楽、仮装と、物凄い勢いで舞台が進み、大歓声の中お祭りのフィナーレを飾った。

尾之間温泉祭りは、
「集落のみんなで楽しめる祭りをやろうよ」
そして温泉の恵みに感謝する意味合いで始まった。

当時1000人を超えていた尾之間地区の人口は現在700人をきった。
踊り連も少なくなり区民の舞踊が中心だったプログラムも、屋久島中から出演者が増えフラダンスやHIPHOPへと変化している。

「人は少し減って寂しい気持ちもあるけど、
Iターンの人が増えて、みんなで盛り上げてくれてありがたい。
多くの人達への発表の場を提供するためにも、ずっと続けていきますよ。」

やりきった日髙典孝区長の笑顔が輝いていた。

屋久島の各地区に、まだ娯楽としての夏祭りがなかった時代。
自分たちで祭りをやろうと、大事に作った区の祭り。

時の流れで変わっていくことを受け入れつつ、先人達への感謝の気持ちが、それぞれの祭りにはあった。

 

<取材協力>
尾之間区・むらづくり委員会
NPO法人 じゃがいものおうち


記事・撮影
MBC屋久島支局 藤本新平

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