川田圭人さん/SUPインストラクター「ULTRAMARINE」
夏の初めのある日、太平洋高気圧の強まりと呼応するように黒潮本流がドカンと接岸すると、海は一面黒々するほどの群青に染まります。
それは動脈をどくどく流れる真っ赤な血のような力強さをもった青であり、島のあらゆる命の源となるものです。ーーー
SUP(サップ)とシュノーケリングのツアーガイド「ULTRAMARINE(ウルトラマリン)」のホームページには、こんなロマンティックな文章が綴られる。
SUPとは、Stand Up Paddleboard(スタンドアップパドルボード)の略で、サーフボードのような板に立ってパドルを漕ぎ、水面を進むスポーツ。日本でも人気急上昇中のマリンスポーツだ。
代表の川田圭人(よしと)さんが、暮らすのは、屋久島最北の港町、一湊。
ブランド魚「首折れ鯖」で知られる漁師町だ。北端に突き出た矢筈岬を挟むように、西に白砂の海水浴場、東にダイビングやサーフスポットが広がり、屋久島の中で最もマリンスポーツが盛んなエリアとなっている。
「ウルトラマリン」という屋号は、「群青色」や「海を越える、渡る」という意味を持ち、屋久島に接岸する黒潮をイメージして名付けた。
川田さんが、初めて屋久島を訪れたのは2012年。登山目的の来島だった。
今でこそ、マリンスポーツのインストラクターをしている川田さんだが、小学生の頃、野鳥に興味を抱いたのを機に登山に目覚め、10代はあちこちの山を登り歩いた。川田さんにとって、海だけでなく屋久島の原生林の力強さも衝撃的だった。
そんな中、マリンスポーツを通じて知り合った、屋久島のシーカヤックツアー会社の誘いで、初来島の翌年に移住を決意。3年の修行を経て、移住前から好きだったSUPを柱に独立を果たした。
屋久島というと山のイメージが強いかもしれないが、照葉樹が両岸にせり出す川も、魚種の多い海も豊か。SUPは3~11月くらい、シュノーケリングは5~10月くらい楽しめる。中でも、6月、7月は、ウミガメの産卵シーズンに当たるため、ウミガメと高い確率で遭遇できるというお楽しみ付き。
PFD(ライフベスト)をつけて参加するので、泳げなくても大丈夫。「海は怖いものでしかなかったのですが、あんなに楽しい思いをしたので海が大好きになりました」と感想をもらったのは、川田さんにとって一生の思い出。
「黒潮の流れの中に、2000mの岩が生えている場所が、おもしろくないわけないじゃないですか。渡り鳥も回遊魚も集まるこの島は、海流と気流の交差点、山だけ楽しむなんてもったいない」海の青が濃さを増す季節。川田さんは今日も海に出る。
ULTRA MARINE
住所 | 鹿児島県熊毛郡屋久島町一湊295 |
---|---|
電話番号 | 080-7026-3913 |
ホームページ | www.kuroshio-sup.com |