渡邉邦子さん/寿し「いその香り」女将


「いらっしゃいませ~」
暖簾をくぐると、元気のいい声が飛んでくる。

屋久島の東側、安房集落はかつて漁師の町として賑っていた。
そこにあるのが“寿司いその香り”。繫忙期になると行列ができることでも有名だ。
笑顔で近づいくるのは、女将の渡邊邦子さん。

渡邊さんはもともと宮崎県延岡市の出身で、宮崎県内で教員をしていたとき、友人と旅行に訪れた屋久島で現在のご主人と知り合ったそう。
お客さんとしてたまたま立ち寄った“寿司いその香り”で、初めはご主人ではなくガイド経験もある弟さんにウミガメの産卵や漁師体験の話を聞き、翌日体験させてもらえることになった。
しかし、これがご縁の始まり!
急に都合が悪くなり来れなくなった弟さんに代わってサポートしてくれたのが、寿司いその香りの店主でもある今のご主人だった。

いその香りは、新鮮な地魚料理を中心に、屋久島の食材を使った店。
渡邊さんのご主人は、代々続く漁師一家で、食卓にはいつも朝に獲れた魚が並んでいたという。
それをみんなに食べてもらいたいと始めたのが、「寿司いその香り」だった。

嫁いで女将となった渡邊さんは、調理師免許を取ったり、魚の種類を覚えたり、日々努力を怠らない。最近は外国からのお客様も多く、英語の勉強もしている。

今年の目標は「着物でのおもてなしができるようになりたい」。祖母が京都の出身ということもあり、屋久島の美味しい食材と一緒に日本の魅力も伝えていきたいと語る。

魚の種類は日本一と言われる屋久島。
もともと自然のアクティビティが大好きな渡邊さんだったが、女将となってからはダイビングをしているとき、目の前を通る魚に「美味しそう!」と思うのだとか。

平内から安房までの間、真っ青な空と、雄大な山々を見ながら出勤できるのは、とても贅沢な気分。

故郷宮崎も魚の美味しいところだったが、屋久島の魚の美味しさには毎回驚かされるという。
特に冬の屋久島は魚が美味しい。
冬のシーズンオフの屋久島に、お客様が呼べないか、仕掛け作りを考えている。女将の挑戦は続くのだ。

「今日も美味しいの獲れてますよ~!」女将に笑顔で言われたら、芋焼酎片手に、ついつい食べ過ぎてしまいそう。

MBCラジオ「やくしまじかん」 2016年10月1日OAより

寿し「いその香り」

住所 屋久島町安房788-150

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