亀澤徳美さん/モッチョム農園
30年前に家族でブラジルから移住し、有機農法の農園を親子2代で営む
15帖分の畑で育つのは、ウコン、ジャガイモ、さつまいも…。有機農法の畑を家族2世代で守っている。
僕が、島へ帰って家の仕事を手伝おうと決めたのは、友人が実家の野菜を“美味しい”と言ってくれたことがきっかけでした。
日に焼けた顔でそう語るのは、尾の間集落に住む、亀澤徳美さん。
有機農法“モッチョム農園”を御両親と兄とで営んでいる。かつてブラジルで移民としてコーヒーなどを栽培していた御両親に連れられ、3歳のときに屋久島へ移住。屋久島高校卒業まで島で育ち、大学進学を機に鹿児島へ渡った。
その後、不動産会社に就職したが、実家の農園から送られてきた野菜を友人にふるまうと”美味しい”と言ってくれたことがきっかけとなり、島へ帰ることを決意。小さい頃から、畑と共に生きてきた亀澤さんにとって、帰島し家業を手伝うのは、自然の流れだったと語る。
ひとつひとつ手間をかけて作る有機農法が向いている
モッチョム農園で育てられた作物は、全て有機農法で栽培されたもの。
毎年厳しい検査を受け、有機農法に認定された畑の管理は、徹底されたものでなければならない。養分を吸収されないよう、こまめに雑草を取ったり、土を健やに保つため”ラクトバチルス菌”などの乳酸菌や、”エヒメAI”という環境浄化微生物資材を撒いて微生物の働きを促したりと、慣行栽培に比べると手間も時間もかかる。
「屋久島は自然豊かな島ですが、大規模な農業には向かないと感じます」
屋久島は花崗岩で成り立っている島。そのためか作物を育てる畑の土としては痩せている傾向にあるという。しかも、急勾配の土地が多く、山からの水も流れが早く、土壌の養分が溶けにくい。つまり、雨水が、高い山々から急降下して海へ向かうという屋久島特有の地形による影響が大きい。しかしだからこそ、小規模でも、ひとつひとつ手間をかけ丁寧に育てる有機農法が向いていると、亀澤さんは語る。
とはいえモッチョム農園で収穫される作物は、じゃがいも100トン、ウコン15トン。そのほとんどが、鹿児島や熊本の有機組合へ出荷される。
「何があっても自分の真ん中にあるのは、農家です。父や母が試行錯誤したものを受け継ぎ、この先も土に触れていたい」
そう語る亀澤さんの額には、土まじりの汗が光る。毎日丁寧に育てた作物たちは、”有機JAS”のお墨付きをもらい、今日も消費者の手元に届く。
(取材: Written by 散歩亭 緒方麗)
モッチョム農園
- 住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間
- URL:https://motchomfarm-yakushima.localinfo.jp/