有水佑太さん、井手信博さん/屋久島夢祭り実行委員会
屋久島の秋の夜長をキャンドルで演出
11月2日、屋久島の秋の夜長をキャンドルで演出する”屋久島夢祭り”。この日、約1万4千個のキャンドルが安房川如竹通り沿いに飾られる。まるで、月明かりに照らされた川面のように、ゆらゆらと揺れるキャンドルは異空間への入り口のようだ。
「生まれ育った安房の町が盛り上がってくれると嬉しいです」
笑顔でそう語るのは、今年で6回目の開催となる屋久島夢祭りの実行委員長である有水佑太さん。昨年度の実行委員長である井手信博さんより、毎年会場を飾る竹灯籠のバトンが渡された。
屋久島夢祭りは、年に一回、安房集落で行われる秋のイベント。賑やかな夏の繁忙期を過ぎ、閑散期に入る屋久島の地域活性化を目的とし、ひんやりとした秋風が安房川を走る11月に行われる。”如竹廟”と言われる小さな神社を中心に、川沿いの道路一面に様々な細工が施された手製の竹灯籠や、透明瓶の中に置かれたキャンドルが並ぶ。
音楽に合わせた打ち上げ花火も
日が暮れ、参加者の手でひとつひとつ丁寧に火が灯されていくと、どこからともなく人が集まり始める。毎年恒例の灯籠コンテストでは、島内のスポーツ少年団など各種団体や個人参加者などによるキャンドルアート作品がそれぞれの表現を競い合うのも、見どころのひとつだ。そして、キャンドル達に呼応するように、対岸から音楽に合わせて花火が打ち上がり、辺りは華やかな光に包まれる。
実はこの祭りは、安房集落出身の儒教学者”泊如竹”和尚の功績を称え、地域の繁栄と安寧を願うという目的もあるという。如竹和尚がかつて、屋久杉伐採のきっかけを作ったり、里に水路を引いたりと、人々の暮らしを豊かにしたことにあやかり、島民の数約1万2千人分のキャンドルに、その願いを込める。また、地域活性化の目的から、当日の屋台や出店は小規模にし、集落の飲食店に人が流れるよう配慮しているそう。
「屋久島は1年を通して楽しめる島です。秋の屋久島は夜がいい、と思ってもらいたいですね」(有水さん)
「島の小中学生や屋久島高校の生徒さん達が協力してくれています。いつか島を出て行く子供達もいるなか、このキャンドルの光景が胸に残っていてくれれば」(井手さん)
今は安房集落だけのイベントだが、今後は、島全体にキャンドルの灯りが広がって行くかもしれない。
(取材: Written by 散歩亭 緒方麗)
屋久島夢まつり
- 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房 安房如竹通り沿い
- 11月2日 17時40分:点灯 20時:音響花火打ち上げ