舟橋佳苗さん/地杉女子・有水製材所

屋久島の地杉の魅力を発信する「地杉女子」見参

「林業女子」や「林業ガール」なる言葉が使われるようになって久しいが、屋久島で林業と製材業に従事する舟橋佳苗さんは「地杉女子」。初めてメディアに取り上げてくれたライターが命名してくれ、気に入って自身でも使うようになった造語だ。

屋久島の森で人の手で植林された「地杉」に惹かれ、3年前に愛知県から移住してきた。

屋久島地杉は、本州の杉と比べ、油分が多く、甘い香りと耐久性、耐候性の高さが特徴。一般的な杉材のように断面はベージュ一色ではなく、赤みがかった黒い芯を持つものが多い。この屋久島地杉を使った精油との出会いが、屋久島に関心を持つきっかけだった。

きっかけとなった「やくしま地杉精油」を製造する「やわら香」での研修をきっかけに、2017年、屋久島に本格移住することとなる。
「親が転勤族だったので、引越しへの抵抗が低くて、どこで暮らすかは自分で選べるとずっと思ってました」と軽やかに屋久島にやってきた。
屋久島ほどの緑豊かな島でも、一般の住宅には低価格で加工しやすい島外産の杉材が使われるのが一般的だが、地杉を多用した役場庁舎の建設を機に、「地産地材」の機運が高まってきた頃だった。

現在は、有水製材所に勤めて1年。
有水製材所は、屋久島の中で唯一、製材だけでなく、育苗や伐採など、杉にまつわる業務を広く行っている会社だ。舟橋さんは、ひととおりの業務を経験したのち、製材部門に携わっている。

「人工林といっても、製材前の木は、個性豊か。木の芯を捉えて運ぶのは難しいけど、できることが少しずつ増えてきました」と語る舟橋さん。今では、身長の3倍はあろうかという材も運んでいるという。
インスタグラムでは、「製材所仕事日記」と題し、地杉の魅力や製材所の仕事について発信も行なっている。

この冬からは、有水製材所が個人客向けに作った木材店「キノミセ」の店頭にも立つ。高速艇が発着する安房港から徒歩5分の賑やかな立地。屋久島産材100%の商品を取り扱う店には、甘い杉の香りがいっぱいに立ち込めている。

週に一度の営業日は、たくさんの人と地杉について語り合える至福の時間。舟橋さんの地杉愛は、島民の間にもじわじわと浸透している。

(取材:一湊珈琲編集室 高田みかこ)

「キノミセ」の営業は、毎週日曜の9時〜17時。
キノミセのインスタグラムはこちら

有水製材所
TEL.0997-46-3528
有水製材所のフェイスブックはこちら

関連記事一覧