屋久島民謡「まつばんだ」
屋久の御岳を愚かに思うなよ
金の蔵よりゃなお宝
屋久の御岳のシャクナゲ花よ
年中蕾んで一度咲こな
YakushimaFilmの田中です。
今日は屋久島に古くからある民謡「まつばんだ」を映像で紹介したいと思います。屋久島には民謡が少なく、まぼろしの民謡とも呼ばれています。
屋久島生まれの歌手 緒方麗さんに「まつばんだ」への思いを綴ってもらいました。
「私の生まれ育った故郷屋久島では、太古から、 大岩や巨木などには神が宿っていると信じ、 怖れ敬いながら暮らしてきました。
雨が多く厳しい自然環境のなかで生き抜くために、 神に祈りを捧げ、島民は、自然との共存、救済、 そして安寧をお願いしてきたのです。
海抜から山頂まで幾重にも連なる山の稜線を辿るかのような、 この唄の複雑なメロディには屋久島の自然そのものが 表現されています。
“この島の自然こそが、人々にとっての宝”
そこには神々に見守られた島民の精神性が表されているのです。 屋久島の自然が創り出す文化の代表的なものこそ、「まつばんだ」 ではないでしょうか。
唄うたびに、脈々とこの島で受け継がれてきた私のアイデンティティ が込み上げてくるのを感じると、故郷への感謝と溢れんばかりの 慈しみを、どう表現すればいいのか分からなくなります。もはや、 島で生きるこの魂ひとつで唄うしかないのです。」