古代人を魅了した 夜光貝との出会いをきっかけに、ジュエリー作家に

「屋久島」の名前の由来ともなったといわれる「夜光貝」。
その名の通り、光の反射によって、虹色に輝く大きな巻貝で、色合いは、艶やかな黄金色から乳白色、青緑色まで、部位によってさまざまな違いをみせる。

手がけるのは、ジュエリー作家のShin SUWAさん。
屋久島町の「暮らし体験住宅」に当選したことをきっかけに、2017年、島に引っ越してきた。「暮らし体験住宅」は、移住希望者が、島での暮らしを体験できるよう、家電などを備えた住宅で、3カ月から1年間暮らしながら、仕事やその後の住まいを探せるという制度。
Shinさんは、屋久島西部の永田集落の住宅に暮らしながら、交友関係を広げ、島暮らしの足場を固めた。

そんな交友関係の中で出会ったのは、島でポピュラーな夜光貝。そのままでも美しいので、中身を食べた後、乾燥させて飾る家も多い。削って磨いて、キーホルダーやアクセサリー、漁具に加工する人もいる。
「島に移住して初めて知った、この貝の輝きに魅せられ、趣味で彫り始めた」というshinさん。家具職人の家に生まれ、ものづくりが身近だったということもあり、道具やデザインに工夫を重ね、貝磨きに没頭していった。

趣味の域を超えるほどのクオリティに達したころ、口コミやSNSを通じて、「購入させてほしい」との声が寄せられるようになり、開業。土産物店にも卸しはじめた。この春には、屋久島空港近くの「西小瀬田」バス停前に直営店「Shim_Sham_Jewelry（シムシャムジュエリー）」をオープン。他に仕事を持っているため、店の営業は、平日夜間と土曜・祝日のみ。臨時のお休みなどの情報は、SNSで事前告知している。

近頃、挑戦しているのは、半透明の天然石とスライスした夜光貝を重ねて、色合いの変化を楽しむ作品。合わせる石によって、七色の輝きを放つ。
店の片隅には、shinさんの父上が手がけた小引き出し。職人として歩きはじめた息子を静かに見守っている。

Shim_Sham_Jewelry （屋久島町小瀬田）
https://www.instagram.com/shim_sham_yakushima/
営業時間は、月火水金曜17:30～20:00、土曜・祝日10:00～20:00。木・日曜休。