はしり新茶の収穫はじまる
こんにちは、MBC屋久島支局の藤本です。
3月末、30年以上お茶の有機栽培をおこなっている「八万寿茶園」の「新茶」収穫を取材してきました。
屋久島(種子屋久地方)は本格緑茶栽培の南限とされ、新茶の摘採(てきさい)が国内でも早い地域とされています。
新茶のなかでも、八十八夜より早い時期に摘採されるものを「はしり新茶」と呼びます。
「茶葉の状態を見て、今日収穫することにしました。どんなお茶になるのか、私たちも緊張します。」そう話すのは、八万寿茶園2代目の渡邉桂太(37歳)さん。
約7日間かぶせていた、黒い”寒冷紗(かんれいしゃ)”を巻き取る作業が摘採直前に行われます。
この寒冷紗は、新芽にあたる日光の量を調整し、濃い緑の茶葉になるよう導きます。
摘採前に雑草が混ざっていないか最後のチェックを行います。
新芽をなでながら丁寧に、人の手で。
今回摘採されたのは、「くりたわせ」日本茶の中でも1%に満たない希少品種です。「違う品種に変えていく農家も増えています。うちでも少量しか生産していませんが、とても人気です。」
摘採された茶葉は袋に入れられ自社工場に運ばれます。
蒸す、揉む、乾燥の工程を経て、
荒茶(あらちゃ)と呼ばれる半製品段階まで加工されます。
この荒茶に火入れなどの仕上げ加工を施し、最終的な製品となります。
この時点でも新鮮な茶葉の香りでとてもリラックスできました。
今回は、荒茶の状態で試飲させて頂きました。
香ばしさとはまた違った優しいお茶の香りと甘みで、
スッキリとした味わいでした。
「屋久島の美味しい水と相性がいいので屋久島に来て是非飲んでいただきたい。
屋久島は小さい産地ですが、どの農家も一生懸命取り組んでいます。
新茶の始まりということで、屋久島茶を飲んで、
今年度、頑張るぞと思ってもらえたら嬉しいです。」
およそ一か月、品種を変えながら新茶の摘採は続きます。
「無農薬で育てるからこそ、夏の草取りは大仕事。
それでも、丁寧に自分たちで作ったものを自分たちで届けます。」
新茶が終われば、2番茶、3番茶、4番茶の摘採に。
屋久島茶の季節は、始まったばかりです。
取材協力
屋久島八万寿茶園
□記事・撮影
MBC屋久島支局 藤本新平