北信也さん/「WAA ma-no」オーナーバリスタ
屋久島の北部、一湊に建つカフェ「WAA ma-no(ワア マーノ)」の営業日は、月1回。
ショーケースに並ぶのはタルトやカヌレ、バターサンドといった焼き菓子。評判を聞きつけた地元客が開店前から列をなすこともある。
ここは、兵庫県丹波市に店を構える「cafe ma-no」初の支店。
昨秋から、オーナーバリスタの北信也さんが月に1回、屋久島まで足を運び、本店で焼き上げた菓子を販売、じわじわとファンを増やしながら、店舗の改装を進めようやく3月のグランドオープンにこぎつけた。
3月の営業は3日と半日。
北さん自ら厨房に立ち、料理や飲み物を仕上げ提供する。
客席の中央に据えられた大きな桜のテーブルでは、初対面の客同士、自然と会話が広がっていく。トイレのドアが本棚になっていたり、正面入り口には、小さな客のために小さなドアが設置されていたりと店内は遊び心にあふれ、会話のタネは尽きない。
2012年オープンの本店が10年目を迎えるにあたり何か面白いことをやってみたい。コロナ禍で新たに力を入れた通販事業が軌道に乗ったことや、島民や物件との出会いも重なり、初めての支店を兵庫県丹波市から遠く離れた屋久島にオープンすることとなった。
「笑顔がみたい」という思いから始めたカフェだが、本店では多くのスタッフを抱え、厨房にこもることも多いため、「屋久島でのひとり営業は、初心に立ち返るようで新鮮」と語る。
「WAA ma-no」が営業していない間はどうするか。
北さんは、この場所を様々なプロフェッショナルに開かれたイベントスペースとして育てていく構想を抱いている。「観光に行く屋久島」ではなく、「仕事をする屋久島」の場所作り。「mano」とはイタリア語で「手」を意味する言葉。「人と人」を「人と場所」を「人と素材」をつなぐ「手」が、島にどんな出会いをもたらしてくれるだろう。
4月以降の営業日は、公式インスタグラムで告知される。
WAA ma-no
屋久島町一湊2282-2(布引の滝公園入口)
https://www.instagram.com/waa_ma_no_yakushima/