尾之間のよかたん豆腐
尾之間のNPO法人「じゃがいものおうち」
様々な事業をされている中から、今日は“よかたん豆腐”にフォーカスして取材した。
昔ながらの製法で作られる豆腐
屋久島のスーパーには様々な種類の豆腐が置かれているが、よかたん豆腐は地産という事もあり、客の目を引いている。
この豆腐作りはNPOの活動の一部として、障がいを持った方々の働く場所でもある。
朝8時前に現場に到着すると、男性2名が大豆を絞る作業をしていた。
この機械はなんと70年以上も使われていて、理事長の楯 篤雄さんが母から引き継いで今も使用しているそうだ。
原料にもこだわり、大豆は九州産のみ。そこににがり、米ぬか、そして屋久島の水だけを入れて、昔ながらの伝統製法地釜焚きで作られている。
大きな釜で焚き上げる際は焦げないように細心の注意を払う必要があり、その作業を担当する男性の表情は真剣だ。
9時になると他の作業員の方も来て、皆さん楽しそうに豆乳の瓶詰めや豆腐のパッケージングの作業が始まった。笑顔で働く作業員の方々を見るだけで、この豆腐を食べた時に美味しさが増しそうだ。
活動を通じて伝えたい想い
楯さんに、なぜ障がいを持った人の雇用に力を入れようと思ったのか、きっかけを聞いた。
「私の息子が重度の障がいを持って生まれて、社会の中に彼の居場所があるようにと始めた」
その息子さんは39歳でこの世を旅立たれたそう。
インタビューを終えた後、作業場で楽しそうに会話する皆さんの姿を見ると、今の「じゃがいものおうち」は息子さんが屋久島にもたらしてくれた奇跡のように感じる。
最後に、楯さんから豆腐の食べ方についてコメントを頂いた。
「私たちが作った豆腐を食べるときは、よく噛んで食べてほしい」
豆腐は品質管理のために冷蔵庫に入れて保存するが、冷たい状態だと大豆の風味や香りが感じにくいそうだ。
確かに、取材先で頂いた出来立て熱々の豆腐は、とても香り高く美味しかった。
ちなみに、屋久島が台風や大雨で物資が届かない日が続く時には、普段より多めに仕込んで各店舗に下ろしているそうだ。スーパーが空っぽの時に行っても、よかたん豆腐だけは在庫があるのは、彼らの気遣いのおかげだと知って、感動と感謝の気持ちが込み上げてきた。
サロン湯の峯、工房にじいろの樹で製造・販売した売上は障がい者のみなさんの工賃となる。
インタビュー動画
インスタグラムでは、よかたん豆腐を使った料理やデザートのレシピも公開されているので、是非チェックしてもらいたい。
よかたん豆腐は島内のサロン湯の峯にてAコープにて購入が可能。
その他販売箇所についてはWEBサイトをご確認ください。
PHOTO & MOVIE:SHU ITO
特定非営利活動法人「じゃがいものおうち」
鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間136-6
HP:https://yakushima-jyagaimonoouchi.com/
歴史
1997年、障害児(者)を持つ親や家族が集まり「じゃがいものおうち」設立。
2000年、「じゃがいものおうち」拠点設立。
2002年、屋久島子ども発達支援センター「おひさま」児童デイサービス設立。
2003年、NPO法人「じゃがいものおうち」法人化。
2008年、小規模通所介護、基準該当生活介護、自立訓練、事業所「みんなのおうち」設立
2015年、口永良部島被災者支援、「憩いの豆腐作りワークショップ」開催
2016年、就労継続支援B型事業所「にじいろの樹」設立