兒玉保光(こだまやすみ)さん/comonoキッチン・こそだて支援comono

屋久島の南西、栗生海水浴場の近くに、この夏オープンしたタイ料理店「comono(コモノ)キッチン」。
2人がけと幼児イスが1脚のテーブルが1つ、カウンターが4席という小さな店で提供されるのは、グリーンカレーやカオマンガイ(蒸し鶏ごはん)といった、日本でも馴染み深い料理から、カオクルッカピ(えび味噌混ぜごはん)、カオニァオマムアン(ココナッツミルクごはんマンゴー添え)など、珍しいものまで、日替わりタイ料理2種類から選ぶスタイル。週に1回ほど、キッチンカーで島内各所に出店もする。
タイに留学経験を持つ、店主の兒玉保光(こだまやすみ)さんによる本場仕込みのタイ家庭料理が評判を呼んでいるが、タイ料理店開店のきっかけは、意外にも、「子育て支援事業」だった。

そもそもの始まりは、2020年、屋久島に引っ越す前に暮らしていた埼玉県狭山市。
自身が子育て中に、「こんなサービスがあったら」と考えたアイデアを詰め込んだ、当日予約OKの産前産後弁当宅配サービス「comono」を立ち上げた。育児経験者が直接配達して、会話を交わすというのもポイント。「como no」はスペイン語で、「もちろん」「当然やるでしょ」「やらない理由がない」という意味の言葉だという。

兒玉さん自身が、産前産後に抱いた育児への「不安」や「孤独」、そして既存の子育て支援サービスを利用するための手続きの多さとハードルの高さから、利用そのものを断念した経験から思いついたのが、「手軽で気軽でゆるくつながる」ことができるこのサービス。
事業者からの食材寄付や助成など、子育てや事業を通じて知り合った多くの仲間と共に、できる限り低価格で提供する工夫を重ねながら、資金捻出と事業PRのために2021年、キッチンカー「comonoキッチン」を導入した。

そして、2024年、兒玉さんの父親のふるさとでもある屋久島町栗生に家族で移住、キッチンカーも一緒に引っ越し、縁あって、初めての実店舗もオープンさせた。
狭山市の「こそだて支援comono狭山」は、共に活動してきたメンバーが今も事業を継続している。屋久島でも「こそだて支援comono屋久島」を立ち上げ、妊娠期から産後1年までの家庭を対象に、身体にやさしくて幼児も食べられる味付けの手作り弁当を、当日予約、1個500円で屋久島内どこにでも宅配する。

8月からは、栗生生活館にて地域食堂「comonoみんなの食堂」も開催。月1回、土曜日の11:30〜13:30に、こども0円、高校生以上300円でお弁当を提供する(先着50個)。「ごはんを通じて人が交じり合う場所」を作る。兒玉さんの夢が、またひとつ形になった。


comonoキッチン

屋久島町栗生1060
営業日や時間は、SNSで毎月告知
https://www.instagram.com/p/C7ochWkSF90/

こそだて支援comono

https://www.instagram.com/comonoyakushima/

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