世界の賞を多数受賞した屋久島の建築

屋久島の高平にある『Sumu Yakushima』が、世界3大デザイン賞と呼ばれる”IF design award”を初め、現在22のデザインアワードを受賞している。
2024年7月2日に授賞式が開かれた、第一回屋久島建築賞でも”屋久島町民賞”を受賞しており、今日はSumuのコンセプトとデザインのこだわりについてインタビューした。

サスティナブル(持続可能性)では足りない

Sumuが大きく評価された点としては、革新的な建築コンセプト「リジェネラティブ建築」だという。つまり環境を保全するだけでなく、元の状態よりもさらに再生させることを意図している。

全ての木を全て薙ぎ払うのではなく”共存”を重視した設計。

Sumuは”菌築家”小野 司さんの自宅であり、実験的宿泊施設でもある。

これらを一つの大きな建物にまとめるのではなく、分棟配置したことで、滞在する人々は森を通って部屋に帰ったり、キッチンや風呂場へ行くことになる。

そうすることにより、家の間にある自然の要素を壊さずに建築が出来たと同時に、そこに滞在する人々は心地良い空間に住みながらも、屋久島の自然を常に近くに感じることができるのだという。

左右それぞれがウッドデッキを通じて宿泊棟となっている

元インテリアデザイナーでもある小野さんのこだわり

木材は屋久島の建築らしく”地杉(屋久杉の種の苗木や接ぎ木から植林された杉)​​”を使用。

屋久島地杉は油分を多く含むため、雨の多い屋久島でも腐れにくく、防蟻・防ダニ・リラックス効果をもたらす一方、床や壁に使用すると、重苦しいデザインになりがちだという。

例えばこの写真。ここでは敢えて板を細く製材して隙間を作り、デザイン性を高めるとともに暗く重苦しい印象を回避した。

”住めば住むほど、自然が澄む”

Sumuの名の由来でもある、一番大切にしているコンセプトだそうだ。

今世界から注目を浴びているこの建築と彼らのあり方。
その発信地が、私の住む屋久島だと思うと誇らしい。

株式会社tono 代表 / 菌築家 小野 司さん

今後は、自然との距離感を大事にした場所づくりや土中環境を考えた建物、未来の生き方のデザインをここから発信していきたいという。

Photo & Text:SHU ITO

【会社】株式会社tono 代表 / 菌築家 小野 司
【住所】〒891-4402 鹿児島県熊毛郡屋久島町麦生311-91
【メールアドレス】 to-no@to-no.me
【tono公式ウェブサイト】 https://www.to-no.me
【Sumu Yakushima 公式ウェブサイト】https://sumu-life.net

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