山本俊亮/四世同堂オーナーシェフ
「地域の風土」「歴史」「文化」を料理に表現するローカルガストロノミーを発信
福岡県糸島市の中華料理店「四世同堂(しせいどうどう)」。
糸島で人気の瓶詰め調味料「アチョー」シリーズの発売元と聞けば、知っている人も多いのではないだろうか。
この人気店が、屋久島に引っ越してきた。
店主の山本俊亮さんは、静岡生まれの名古屋育ち。
15歳から名古屋の台湾料理屋でアルバイトをはじめ、上京後、四川料理、広東料理を学び、福岡県糸島市にて2021年に「四世同堂」をオープンした。
化学調味料不使用、添加物不使用で野菜と魚介を中心に、素材を活かしたシンプルな中華料理を提供する店だ。
店名の「四世同堂」とは「四世代が一つ屋根の下に暮らすことは最高の幸せ」という中国の言葉。安心安全で身体と心に優しい食べ物で四世代が楽しく集まって食事ができるような、そんな店にしたいという思いから名付けた。
初めて屋久島を訪れたときに感じた、圧倒的な自然のパワー。釣り好きということもあり、魚種の豊富さと柔らかくておいしい水の魅力に惹かれ、すぐに移住を決意したという。
水が飲みたければ、至る所で美味しい水がコンコンと湧いている。お風呂に入りたければきれいな川や温泉がある。目の前の海では魚が釣れる。海に潜れば美しい世界が広がっている。
「生きるということは本来、こういうことだったんじゃないかと気づかせてくれた島。それが屋久島でした。屋久島のジビエと魚、野菜や果物、自分たちで育てた食材で料理を作って、食を通して屋久島を感じてもらいたい、一皿一皿に込められたストーリーを味わってもらうことで、屋久島の壮大なエネルギーを五感で感じとってもらいたい」と夢を語る。
滞在中、島の南西部の中間(なかま)集落の店舗物件の存在を教えてもらったことで、話はトントン拍子に進み。この夏、移住を果たした。
店の目の前に綺麗な川が流れていて、大きなガジュマルをくぐるとお店がある。川を下るとすぐに美しい砂浜へとつながっている。夕陽が美しい中間集落。
大工さんと一緒に改装を進めながら、雑木林になっていたお店の裏の土地を開墾し、畑作りもはじめた。
「店の裏で育てた旬の野菜を収穫して、30秒後には中華の強火で炒めあげる。調理に使うのは塩と屋久鹿の脂だけ。今、僕が最も作ってみたい料理です」畑仕事や大工仕事に手を動かしながら、そんなイメージを練っている。
折からの資材高騰のあおりを受け、ちょっとだけクラウドファウンディングも挑戦中。
オープンの予定は12月1日。
完全予約制のコース料理を中心に、月に数回、地元客向けの手頃なランチ営業も予定している。
アチョーシリーズに、屋久島食材が加わる日も近いかもしれない。
四世同堂
屋久島町中間580
https://www.instagram.com/shisei_doudou/